研究課題/領域番号 |
20K04776
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
濱崎 仁 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (30370703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | あと施工アンカー / クリープ / 温度依存性 / 変形予測 / 簡易試験 |
研究実績の概要 |
本年度の検討においては、接着系あと施工アンカーの長期荷重に対する変形を予測するためのクリープ試験について、材料レベルでの簡易的な評価を行うための試験装置を開発し、適用性の検証のための実験を行った。 試験装置は、質量10kg、幅30cm、高さ30cm程度の大きさで、一人でも試験が可能で、恒温恒湿槽などに入れることの出来る大きさであり、様々な条件下での試験を実施することが出来る。また、加力方法を工夫し、一般的な材料試験機を用い、あと施工アンカーに対して、精度良く載荷加重を入力する方法を提案することができた。 この試験治具を用いた実験として、接着剤の種類(エポキシ系・セメント系)、載荷荷重、環境温度(0~60℃)、温度変化のパターン(温度変動幅や変動の時間など)を組み合わせた実験を行い、クリープ変形量の測定および長期予測を行った。また、建築研究所および日本建築あと施工アンカー協会と共同で、従来のコイルばね式の試験装置による測定との比較を行った。 その結果、従来の試験装置と比較してクリープ変形量の値は小さくなり、これはコンクリート母材の変形量が含まれないことによるものと推測された。また、本試験装置を用いることにより異なる環境条件におけるクリープ変形量を簡易に測定、予測できることが明らかになった。 ただし、変動温度下では試験装置の変形量による測定誤差が含まれることから、この誤差のキャンセルの方法については今後検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、簡易的な試験装置の開発と恒温環境における適用性の確認までに留まる予定であったが、変動温度環境下における試験まで実施し、問題点の抽出等が出来たことから、当初の予定を上回る成果が得られていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記の変動温度下における測定誤差の低減方法について検討する。また、温度依存性をモデル化するための、モデル検討とその確認のための実験を行い、時間および温度を組み入れた変形量の温度依存性の定式化のための検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張が中止になるなどで旅費支出が少なくなったことなどにより、若干の残額が生じた。 残額分については、今年度予算として実験のための謝金等として使用する予定である。
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