研究課題
令和4年度の検討においては、日本建築あと施工アンカー協会および(国研)建築研究所と共同で、これまでに実施している小型(皿ばね式)および超小型クリープ試験装置によるコイルバネ式装置との比較実験を継続的に実施し、コイルバネ式の試験装置の再現性の検討を行うとともに、その差分の定量的評価と補正方法の検討を行った。小型および超小型クリープ試験機においても、初期の弾性変形量、装置全体の剛性を考慮することで適切な補正を行うことができることが明らかになった。また、温度条件の異なる超小型クリープ試験の結果を、昨年度までに検討した温度依存性を考慮した長期変形量の粘弾性モデルに組み入れ、モデル上の長期予測量と実際のクリープ試験結果から、Findley式を適用して得られる値との比較を行い変形量の長期予測とその検証を行った。検証の結果、通常の温度条件(5~40℃程度)においては、小型クリープ試験機の結果を用いても長期変形量の予測が可能であることが明らかとなった。あと施工アンカーの長期特性の評価については、2022年3月にあと施工アンカーを長期荷重を負担する部材に適用するための法改正(平成13年国土交通省告示第1024号の改正)が実施され、研究代表者らが中心となって実施してきたコイルバネ式の試験装置による値によってあと施工アンカーの長期変形量を確認する方法が標準的な方法として示された。これにより、小型試験装置による試験結果の補正方法がより重要になり、本研究の成果が、あと施工アンカーの適用、ひいては既存建築ストックの有効活用に繋がることが期待される。
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