R4年度は、R3年度の成果の研究発表2件(第57回地盤工学研究発表会で直杭と群杭の単杭及び群杭の加圧土槽実験結果を報告)、FEM解析(群杭効果のパラメトリックスタディ)、杭の鉛直載荷時の地盤挙動の画像解析を行った。 R3年度の実験から、杭先端の形状の違いが群杭効果に影響を及ぼすことが認められたため、本年度は地盤挙動を観察できる加圧土槽実験を実施し、杭の鉛直載荷時における杭先端付近地盤のせん断ひずみを画像解析で評価した。まず予備実験により、画像解析に適した模型地盤の作製方法と撮影環境の構築を行った後、本実験を行った。本実験は拡底杭、直杭ともに単杭1ケースと群杭3ケースの計8ケース行った。上載圧は100kPa、目標相対密度は80%である。その結果、単杭では直杭と拡底杭で地盤のせん断ひずみの発生状況が類似し、杭先端径に依存する関係のみが認められた。群杭では、単杭と明らかに異なる傾向が認められ、隣接杭の影響を顕著に受けることを確認した。特に杭心間隔が近い場合、2本杭が1本の太い杭の様に振舞う傾向が認められた。また、同一杭心間隔の比較では拡底杭と直杭のせん断ひずみ分布に違いが認められ、これが杭先端形状の違いによって群杭効果に差が認められた一要因と考えられる。しかしながら、鉛直支持力と地盤挙動の関係は紐づけできていないため、今後の課題である。群杭の鉛直載荷時の地盤挙動に関する画像解析に関する研究は見当たらず、極めて貴重な知見である。この成果は、R5年度の日本建築学会大会に論文投稿しており、9月に発表する。 研究期間全体を通して、群杭効果に及ぼす杭先端形状の影響は鉛直支持力と画像解析の両方で認められた。画像解析結果と鉛直支持力の関係を結びつけるには至らなかったものの、次への課題として杭先端面積の影響や実験方法などを明確にしており、本研究を確実に前進させることができた。
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