最終年度は、大きな直径を有する場所打ちコンクリート拡底杭工法おける、地面掘削の最終段階で孔底にスライムや不純物が溜まり、先端杭形状や先端支持力の確保に影響を与えることが考えられる。本研究では、孔底スライムを適正に処理する特殊ポンプとベントリープラントを用いた施工管理において、電気比抵抗を用いて孔底をモニタリングし、スライム処理出来たかをリアルタイムに管理する手法を実施工実験にて行った。施工実験結果、スライム処理経過時間による砂分率の低下を定量的に電気比抵抗による評価を明らかにした。 研究期間全体を通じて、令和3年度は、水を減衰媒体とする無線通信性状における杭の施工品質確認のためのデータ送信に関する実験的研究にて、使用機器の周波数 920MHz と 351MHz の違いから水中最大通信距離が7倍となること、無線機出力が1W から5W に増加すると通信可能深さが 570 ㎝から 680 ㎝に増大すること、同軸ケーブルにて深さ 20m まで伝搬減衰がないことを明らかにした。令和4年度は、土中のセメントソイルでの既製コンクリート杭の現場施工品質確認のデータ送信の実験的な研究を行い、通信が不安定な部分もあるものの、500mm の間隔で電波通信が可能なことを示した。また、埋込み杭の根固め液における比抵抗計測結果に基づく圧縮強度の評価では、土の比抵抗 ρ、圧縮強度qu、有効セメント水比C/We との関係により、現場で採取した根固め液の未固結液中に電気伝導率計を挿入し、ρ を直接計測することにより瞬時に液の良否を判断することが可能であることを示した。4種類の泥水による室内実験を通して電気比抵抗を用いた場所打ち杭のスライムの室内実験にて、土砂によるスライム層上の混和材混入の薄いスライム層の存在を電気比抵抗で示した。また、スライム管理の手法である砂分率を電気比抵抗で評価できることを明らかにした。
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