研究課題/領域番号 |
20K04786
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
越川 武晃 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10399983)
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研究分担者 |
北野 敦則 前橋工科大学, 工学部, 教授 (80250471)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 建築構造・材料 / 構造工学・地震工学 / 制震 / 耐震 / 損傷制御 |
研究実績の概要 |
本研究は、PC鋼材の定着部に緊張力変動抑制装置、圧着接合部に梁端ダンパーを備えた新たなアンボンドPCaPC損傷制御構造の実用化を目的に、緊張力変動抑制装置・梁端ダンパー・それらを備えた圧着接合部および部分架構試験体を設計・製作し、構造実験を通してその有効性を実証するものである。さらには、緊張力変動抑制装置と梁端ダンパーの性能・アンボンドPC鋼材の緊張力・部材や構造の規模等が構造性能に及ぼす影響を理論モデル・解析モデルを用いた詳細な検討を併用して定量的に評価するとともに、損傷制御性能とエネルギー吸収性能を併せ持つ本構造の合理的な設計法を提示するものである。本年度に実施した研究内容は以下のとおりである。 [1]緊張力変動抑制装置試験体の載荷実験(要素実験)を行った。装置試験体を固定し、PC鋼棒に引張荷重履歴を与えて、PC鋼棒の荷重と変形および装置試験体の変形を測定した。荷重履歴は、十字形柱梁接合部試験体における初期張力までの履歴と、PC鋼棒に生じる想定最大張力までの履歴の2パターンとした。要素実験の結果、皿ばねを用いた装置試験体に特有の荷重-変形関係を把握できた。皿ばねの挙動に関する既往の理論モデルとの対応も踏まえて、実験結果を解析モデルに反映した。 [2]十字形柱梁接合部試験体を作製し、載荷実験(部分架構実験)を行った。試験体は建物中間層内柱梁接合部を模擬した約1/2スケールとし、緊張力変動抑制装置の効果を見るために装置の有無を実験変数とした。正負交番繰り返し載荷を行い、層せん断力・梁せん断力・PC鋼棒張力・層間変形角・圧着接合部の目開き・装置の変形等を測定した。その結果、装置の有無は主としてPC鋼棒張力と層せん断力に影響することを把握できた。解析による事後評価も合わせて実施し、装置によるPC鋼棒の降伏防止と緊張力の効果最大化を両立できる性能要件等を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題における本年度の目的は、緊張力変動抑制装置の載荷実験(要素実験)の実施と解析モデルへの反映、十字形柱梁接合部試験体の作製と載荷実験(部分架構実験)の実施、および理論モデルおよび解析モデルを用いた実験結果の事後評価と詳細な検討の実施であり、これらはおおむね遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って、要素実験・部分架構実験を継続し、理論モデル・解析モデルによる更なる検討、ならびに提案構造における構造性能評価等を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究費の使用額は当初の予定をやや上回ったが、コロナ禍における制約により生じた前年度からの繰越があり次年度使用額が生じた。 次年度の研究費は、当初の予定に沿って、試験体や実験用治具の製作費、研究成果発表費等に充て、本研究課題を遂行する。
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