研究課題/領域番号 |
20K04788
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松本 幸大 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00435447)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 複合材料 / 鋼構造 / 補強 / 補剛 / 非接着 / 座屈 |
研究実績の概要 |
本研究では,繊維強化複合材料を用いて既存鋼構造部材に対する非接着補強法の提案と構造性能を分析することを目的としている。 (1)建築構造部材において,ブレースなどの長尺鋼部材として多く用いられている山形断面部材を選定し,山形鋼部材に対する取り外し可能なCFRP非接着補強法を確立した。この,山形鋼試験体に対してCFRP非接着補強を施した軸圧縮試験を実施し,変形の拘束による耐力上昇効果と塑性化後の耐力向上性能を明らかにするとともに,1年目で構築した最大耐力の推定を行う設計式との対応を示した。さらに,塑性化後の挙動を単純な力学モデルによって推定する手法を示すことができた。 (2)建築・土木鋼構造部材を想定した板座屈を生じる構造要素を選定し,側面から嵌め込みが可能で脱着も可能なGFRPおよびCFRP非接着補強法を確立した。スチフナ等に見られる三辺固定条件の鋼構造板要素に対してGFRPおよびCFRP非接着補強を施し,軸圧縮試験を実施し,変形の拘束による耐力上昇効果と塑性化後の耐力低下性状が向上することを明らかとした。また,その3次元有限要素解析モデルを構築し,有限要素解析による実験との対応を確認した。 これらの成果は,構造物の重量をほとんど増加させることなく,鋼構造で問題となる座屈耐力を向上させることができる手法として有用であり,自然災害に対する建設構造性能の向上や,被災後の迅速な応急対策に応用される期待があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の実施内容は,(1)長尺鋼部材とそのCFRP非接着補強試験体に対する軸圧縮挙動の解明・(2)板座屈を生じる構造要素とそのCFRP非接着補強試験体に対する圧縮挙動の解明・(3)3次元有限要素解析による実験同定とパラメトリックスタディ・(4)非接着補剛法の補剛部材の設計法と補強後の耐力を算定可能な設計法の構築の4項目である。 実験的研究である(1),(2)が計画通りに遂行されており,有意な補強効果を示すことができた。また,当初計画していなかった最大耐力到達後の座屈後挙動に関する力学モデルの構築も行うことができた。さらに,実験結果を踏まえた(3)解析シミュレーションも進めることができ,実験結果との対応を得た。実験結果および解析結果を踏まえて,(4)設計法の構築についても,実構造設計において利用可能な現行の設計指針に準じた形式で提案することができ,提案した設計法と実験結果との比較により,補強効果を算定できることを明らかにすることができた。 これらの研究成果は,査読付き論文1編,シンポジウム論文1編に発表しており,当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である3年目は,板座屈を生じる構造要素の実験的研究内容について追加試験を実施する。特に,板状部材の座屈に対する補強については,板端部の境界条件がさまざま考えられることから,固定や自由端などの条件を複数設定し,本研究の補強効果と設計法の構築をより発展させる。実験結果を踏まえて,解析シミュレーションの再現性の確認およびパラメトリックスタディを進める。 また,3年間の成果を纏め査読論文の執筆と投稿を行う。
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