研究実績の概要 |
繊維高含有コンクリート(Slurry Infiltrated Fiber Concrete;SIFCON)パネルの適用による鉄筋コンクリート(RC)版の更なる耐爆性能向上に資するため、爆発面側に衝撃緩衝材(硬質ポリウレタンフォーム)を介してSIFCONパネルを設置したRC版の接触爆発に対する耐爆性能について実験的検討を行った。実験は2つのシリーズより成っており、シリーズ1では、RC版厚60mmおよびSIFCONパネル厚10mm一定の条件下で、緩衝材厚を10, 20, 30mmの3水準で変化させた。シリーズ2では、RC版厚60mmおよび緩衝材厚20mm一定の条件下で、SIFCONパネル厚を10, 20, 30mmの3水準で変化させた。爆薬量は、試験体構成に応じたスポール限界が得られる範囲内で、各3水準で変化させた。以上の実験的検討の結果として、以下に示す知見が得られた。 (1) 本緩衝システムを適用することにより、総厚が等しいRC版と比較してクレータ深さは増大するものの、スポール深さは明確に低減される。 (2) スポール限界を超える条件下においてスポールが生じた場合には、普通RC版と同様の形状を有するスポールが生じる。 (3) 総厚が一定であれば、中間に挿入した緩衝材の厚さを増すことはスポール破壊片飛翔速度低減の面で有効である。 (4) SIFCONパネルと緩衝材の等価コンクリート係数はともに2強であり、エネルギー吸収要素としてのSIFCONパネルと、応力波減衰要素としての緩衝材のスポール低減への寄与は同程度である。 今後は、昨年度までの研究成果であるSIFCONパネルを用いた裏面補強と、本研究成果とを組み合わせることにより、SIFCON製埋設型枠の適用によるRC版の耐爆性能向上技術の構築へと繋げていく予定である。
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