研究課題/領域番号 |
20K04795
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
壁谷澤 寿一 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10533953)
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研究分担者 |
壁谷澤 寿海 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (00134479)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 津波避難ビル / 鉄筋コンクリート造 / 耐津波設計 / 水理実験 |
研究実績の概要 |
2020年度は鉄筋コンクリート造外壁試験体の水圧載荷実験を行った。鉄筋コンクリート造外壁試験体は事前計算を行い,縮小スケールを1/3とし,壁厚50mm,壁幅1800mm,壁高さ1000mm,壁配筋はD4ダブル千鳥@100mmとした。側柱および枠柱は断面を300mm角とし,水圧により損傷しない十分な配筋を行った。注水する内部空間を確保するために壁板は一方向に寄せ,反対側は厚さ6mmの薄型鋼板で覆い,鋼板中央部は角パイプを格子状に配置して補剛した。角パイプ端部は側柱および枠梁周囲の貫通孔にPC鋼棒で留め付けた。鋼板と側柱・枠柱の間はシール工事を実施し,水漏れが生じないように計画した。作用している水圧は鋼板に孔を空け,凸状波圧計を鋼板に固定することにより計測した。水圧による壁板の面外変形は外側から変位計により直接計測した。側柱側面には貫通された塩化ビニルパイプを設け,枠梁の上部には直径50mmのガス管を継ぎ足して,地面から高さ約8mまで伸ばした。実験は家庭用上水道によって注水した。水位の上昇とともに徐々に外壁が面外変形し,本試験体は最大水位約6mで曲げ破壊に到った。試験体には実験計画時に想定していた位置にひび割れが生じた。本実験は実験加力装置や大規模な水槽が無くとも一般的な耐震実験と同程度の縮小スケールの耐震壁の面外破壊性状を試験体に鋼板とガス管を取りつけることだけで検証可能な方法を示した。今後,耐津波補強を行った外壁部材等の水圧に対する性能検証の方法として広く普及すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書のとおり,初年度に屋外実験場において十分感染対策を行ったうえで鉄筋コンクリート造外壁試験体の水圧載荷実験を実施しており,新型コロナウイルス等による実験計画・実施の遅延は無く当初の予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に実験したデータを分析し,仮想仕事法による強度算定式や周辺固定スラブの面外曲げ剛性と比較を行う。さらに解析モデルを構築し,荷重変形関係の再現解析を実施する。データの分析結果を踏まえて追加の水圧実験の必要性について吟味する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験体背面側の仕様変更,実験で使用した試験体廃棄を行っていないため予算残額が生じている。実験データ分析,論文投稿等のための予算使用を計画している。
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