研究課題/領域番号 |
20K04795
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
壁谷澤 寿一 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10533953)
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研究分担者 |
壁谷澤 寿海 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (00134479)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 津波避難ビル / 鉄筋コンクリート造 / 耐津波設計 / 水理実験 |
研究実績の概要 |
2021年度は2020年度に実施した鉄筋コンクリート造外壁試験体およびポリエステル繊維補強シートにより補強した外壁試験体の水圧載荷実験の実験データの分析および比較を行った.積層シェル要素を用いた有限要素法解析を実施した.コンクリートおよび鉄筋の応力歪関係は材料実験結果に基づき,繊維補強シートについてはメーカー値に基づく弾性体としてモデル化した.要素寸法は200×200mmとし,45個の要素を9×5のグリッド内に定義した。実験結果から高さ方向への水圧分布の変動が応答に与える影響が小さかったため,壁板中央位置での水圧を等価荷重に置き換えて,各節点に作用させた。鉄筋とコンクリートは完全付着モデルとしている.繊維補強を施した試験体の解析結果では実験と解析の水位変形関係が概ね整合したが,鉄筋コンクリート造試験体の解析が試験体の耐力を過大評価する結果となった.高さ方向の面外変形分布を比較したところ,実験結果では高さに対して線形的に面外変形が変化したのに対して,解析モデルでは中央部分に変形が集中しており,壁板の崩壊メカニズムに違いが見られた.異なる破壊曲面を仮定した外壁について仮想仕事法により部材の面外破壊強度を計算した.無補強試験体では従来の亀甲状ひび割れを想定した実験結果が対応し,繊維補強補強試験体では中央部分が一様に凹んだ変形分布を仮定したモデルに実験結果が対応していた。鉄筋付着性状と面外撓み変形の相関については引き続き詳細な検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書のとおり2020年度に屋外実験場において水圧載荷実験を行い,2021年度には実験データの分析を行った.実験計画・実施の遅延は無く当初の通り進行している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の実験結果のデータ分析から鉄筋コンクリート造薄板平板部材の強度評価について有限要素法等の解析手法を用いても破壊メカニズムの違いから適切な強度評価が行うことができないことが示唆された.そこで,油圧ジャッキを用いた構造実験を行い,薄板平板部材の破壊面の位置が有限要素法により推定できるか追加的な検討を最終年度に実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の実験結果のデータ分析を実施したが,有限要素解析についてはフリーウェアを使うことで再現計算可能であったため予算残額が生じている。一方,分析から本課題の主目的である板状部材の強度評価について破壊曲面の推定が重要であることが分かり,板状曲面の変形性状を密に計測した構造実験実施する.その実験の試験体製作費用・廃棄費用として使用する.
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