本研究の目的は、集成材梁の中心に円形孔を複数有する集成材梁の割裂耐力が低下しない孔の配置基準の提案と実務で求められる範囲で孔の間隔が短くなった時の割裂耐力の低減方法の提案である。初年度は、有限要素解析で孔が1つの場合と2つの場合の孔周りに作用する繊維直交方向の引張応力度の変化を調べた。解析仕様は、孔径Dが梁せいHの0.05倍から0.5倍、孔間距離が梁せいHの0.1倍から2.5倍である。この結果をもとにして孔が1つの場合に対する孔が2つの場合の耐力低下の割合を定めた。そして、今年度は孔が2つの場合の耐力低下を実験で確認するために、梁せいHが300mmで孔径Dが0.4H、0.2H、0.1Hの孔が1つの場合と孔が2つの場合の曲げせん断実験を実施した。孔が2つの場合の孔間距離は0.3HからHである。研究課題18K13867「集成材有孔梁の耐力評価法の提案」の成果である円形孔が1つの場合の集成材梁の耐力算定式と有限要素解析で得られた孔が2つの場合の耐力低下の割合を用いて孔が2つの場合の実験結果を推定したところ、実験値と計算値は概ね一致することが確認できた。また、梁せいHが150mm、孔径Dが0.4H、孔間距離がHの実験も追加で行い、実験値と計算値が概ね一致することが確認できた。今年度の検討は最終年度に行う予定であったが、孔を複数設けても割裂耐力が低下しない孔の配置基準である1.5Hの孔間距離を設けると試験体が曲げ破壊する恐れがあったため、当初予定していた2年目の検討内容の実験は実施していない。
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