研究課題
基盤研究(C)
本研究では、円形孔を複数設けた集成材梁の割裂耐力の設計法を確立することを目的としている。最初に、孔間距離が短くなるにしたがって孔周りに作用する繊維直交方向の最大引張応力度が増加する割合を有限要素解析を行いて定式化し、割裂耐力の設計法を提案した。そして、円径孔を1つまたは2つ設けた集成材梁の3点曲げ試験を実施し、実験値と計算値を比較することにより、提案した設計法の妥当性を確認した。また、耐力が低下しない孔間距離の提案も行った。
木質構造
日本の有孔梁の指針類は、「枠組壁工法建築物設計の手引」か「JIS A 3301」に示されている仕様規定制限のみで、有孔梁の耐力算定方法が確立されていないのが現状である。住宅などの建築現場では安全性の検討を行わずに切り欠きや孔が設けられ場合があり、適切な評価法が望まれてきた。本研究では、円径孔が一つの場合と二つの場合の耐力算定方法を提案し、この成果を応用することにより有孔梁の簡易な設計法や配置基準を検討することができ、安全な建築物の普及が期待される。