研究課題/領域番号 |
20K04797
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
保木 和明 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70599026)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 耐震補強 / 組積造 / 面外 / 有限要素法 / コンクリートネジ / エポキシ樹脂 |
研究実績の概要 |
初年度(令和2年度)は,組石壁を対象とした簡易的耐震補強技術の確立とその利用法の向上をめざして,実験的検討である「要素試験体を用いた施工性および補強効果の基礎性状の把握」,および,解析的検討である「組石造を対象とした汎用コードによる数値解析モデルの構築」の2つの研究課題を実施する予定であった。とくに,実験的検討では,本補強の補強効果を検証するために要素試験体を用いた施工実験およびせん断・曲げ実験を実施し,補強効果の基礎性状を把握するという重要な検討課題(主な実験変数は,「補強の有無」,「コンクリートネジのピッチ」および「載荷履歴」)であった。ところが,実験的検討は,新型コロナウイルス感染予防対策のため,大学内への入構制限などがあり,実験の実施が難しかったことらから,主に,解析的検討を実施することとした。以下にその概要を述べる。 次年度以降の計画にある補強煉瓦壁における破壊モードの分析を行うためには,数多くの実験結果が必要となる。他方,構造実験は試験体を必要とするため,その数は限られてくるうえ,前述したように新型コロナウイルス感染予防対策による実験的検討の制限もある。そのため,組積造を対象とした汎用性コードによる数値解析モデルの構築は重要である。また,脆性材料を使用した煉瓦やモルタルを用いると解析結果が収束しない場合が多く,十分な解析精度かつ安定した解を得られるための解析モデルは確立されていない。そこで,組石造を対象とした汎用性コードによる数値解析モデルの構築では,既往の実験データと比較検討することで解析モデルの妥当性の検証を行った。さらに,実験的検討ができなかったことから,前述の解析モデルを用いて,合理的な補強効果を検討するため,煉瓦と煉瓦の接合部(モルタル部分)の応力状態の検討を行った。これらの成果を用いることで,補強部のコンクリートネジのより効率的な配置が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値解析では,脆性材料である煉瓦やモルタルを扱うため,解析モデルの不安定性が残るものの,解析モデルの構築とともに,煉瓦と煉瓦(モルタル含む)の接合部の応力状態を把握することができた。一方,実験的検討は,新型コロナウイルス感染予防対策のため,大学内での入構制限などがあり,予定通り実施できなかった。 以上のことから「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,可能な限り実験的検討を行うことを視野に入れて,解析的検討を中心に実施することとする。まずは,数値解析の安定性を向上させた解析モデルの構築をめざす。さらに,構築した解析モデルを用いて実験データの補間を行い,簡易的な煉瓦壁面外補強法における補強効果の基本性状の解明をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験的検討において,新型コロナウイルス感染予防対策のため,大学内での入構制限などがあり,予定通り実施できなかった。そのため,研究課題の変更が必要となったからである。今後は,新型コロナウイルス感染予防対策の状況を見ながら,実施できなかった実験的検討を行う計画とする。
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