研究課題/領域番号 |
20K04798
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
石川 裕次 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80421923)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 木エストン / 耐震補強 / ハイブリッド構造 / 木制震 / LVL / 圧縮強度 / ヤング係数 / ポアソン比 |
研究実績の概要 |
本研究が主題とする木質ラーメン骨組みに制震部材および蝶形木質系ブロックによる耐震壁架構の検討を進めるために、2021年度にLVL圧縮試験・曲げ試験の実施および構造性能の確認を、コンクリート、CLTとの材料特性の比較を直接的に行えるように、JIS A1108:2018コンクリートの圧縮強度試験方法および、JIS A1106:2018コンクリートの曲げ強度試験方法に準じて、LVLは円柱および角柱試験体を作成し、圧縮試験および曲げ試験を実施し、以下の知見が得られた。 1)LVLは、繊維方向によって圧縮特性が異なる。繊維Z(縦)方向の場合は、普通コンクリート以上の圧縮強度を有し、約1/2程度のヤング係数を有することを、同一実験方法によって確認した。また、ポアソン比などの詳細なデータも取得した。」 2)LVL(繊維縦方向)は、CLTに比べて2倍程度の高い圧縮強度、ヤング係数を有している。3)LVLの材料試験として、これまで非破壊検査による性能確認を行ってきたが、必要に応じて、角柱による圧縮試験の実施も材料品質の確認方法として有効であることを提案する。円柱試験体の方が力学上は適正な形状であるが、直径150Φであれば、問題ないが、100φの場合には、ラミナ接着層が極端に幅が狭くなり、強度のばらつきを誘発させるためである。しかしながら、加工手間を含めた難易度を考えると、LVL製造メーカが容易に加工できる幅100高さ200㎜の直方体による圧縮試験が、もっと合理的であると考えられる。4)LVL曲げ強度は、コンクリート単体の曲げ強度の数倍を有している。 特に、木質ラーメン構造の材料としてLVLが最も適していることが分かった。以上の研究成果は、2022年日本建築学会大会にて3編の論文発表を、2022年9月に行う予定である。また、CLT木エストンブロックは尾鷲市庁舎に既存RC建物の耐震補強に適用された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナ禍の影響により、試験体の供給先であるLVLメーカおよび加工メーカの活動停止に加え、当大学内での作業を行うことが出来なかったため、実験的研究の遂行が困難となり、実施すべれらのき研究が遂行できませんでした。しかし、2020年度に予定されていた研究内容は、2021年度に実施しました。しかしながら、現時点で全体計画は、やや遅れております。現在は、本研究の研究目的を遂行するために、研究担当者を増員して研究活動を行っております。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から、近年、木質構造化が進む中高層建物実施例の見学を行い、実施設計上の課題を再確認し、改めて、本研究の位置づけを検討しました。現在、研究活動が、計画案に比べてやや遅れている状況がありますが、2022年度は、最終年度である事から、以下の方策に基づき、研究活動を遂行し、次ステップの研究活動計画を立案したいと考えております。 1)2022年度は、LVLエストンブロックの試作を行い、構造性能確認は、LVLエストンブロックの性能確認を実施します。 2)LVLモーメントフレーム架構のト形接合部実験を実施しながら、本研究で提案する工法の特許出願準備を進めます。 3)既に確認できたLVLの構造材料としての優位性を生かした研究も検討を行い、LVLを主に用いた架構の実現の研究を進めます。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、主として以下の研究活動の実施に当たって研究費を支出致します。 1)LVLエストンブロックの実大の試作および試験体用の試作,2)LVLを用いた一部材料試験および接合部実験の実施,3)特許申請に関係する費用,4)LVLの活用拡大を図る実験的研究への支出
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備考 |
芝浦工業大学HPにおいて、2021.05.24 プレスリリース 研究として、HEDLINEの中で、本研究の前身となるCLT(木)エストンブロックの実用(尾鷲市庁舎耐震補強:竹中工務店(共同研究先)の設計施工)化について紹介されました。
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