本研究は、2022年度終了までの3か年において、以下に示す主な研究活動によって、主に3つの研究業績を創出することができた。1)エンジニアリング木材料であるCLT,LVL、BLT(集成材)の材料特性の分析:各種材料が保有する材料特性の比較検討を行い、コンクリートとの相対的な性能差を検討することで、各種材料の構造材料としての実用性を検討した。具体的には、コンクリートと同様な材料試験方法を実施し、各種材料として、LVLは普通コンクリート以上の圧縮強度を有すると共に、1/2程度の弾性係数を有することから、柱や梁部材として実用性が高いことを確認した。この成果は、2022年日本建築学会大会にて論文投稿おび発表を行った。2)木エストンブロックの実用化:2021年5月に共同研究を並行して進めていた竹中工務店によって「尾鷲市庁舎の耐震改修」に適用された。これは、本研究で提唱していた木エストンブロック壁である。なお、この実用化技術は、共同研究を進めていた株式会社竹中工務店,(地方独立行政法人)北海道立総合研究機構林産試験場 北海学園大学と共に、2022年度エンジニアリング奨励特別賞(一般財団法人 エンジニアリング協会)を受賞し、資源循環型材料であるCLTや集成材の利用拡大に貢献した。3)従来のCLTエストンブロックを、より高強度化するために、1)2)の成果を踏まえて、非常に高い材料特性を有するLVLエストンブロックの試作を行い、壁要素実験による構造性能の比較を行い、LVLエストンブロック壁は、CLT壁の役2倍のせん断強度を有することを確認した。この研究成果は2023年日本建築学会大会にて発表予定である。科研費に基づく本研究では、研究自体の成果を創出できたことに加え、これら研究に携わった学生が清水建設技術研究所に就職するなど、若手人材の育成にも大きく貢献した研究活動を行えたことを報告いたします。
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