研究課題/領域番号 |
20K04799
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小林 正人 明治大学, 理工学部, 専任教授 (50373022)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 建築構造・材料 / 免震 / 構造設計 / ロバスト性 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
南海トラフ沿いの大規模地震や大阪府上町断層帯の内陸地震等,免震構造には従来の設計想定レベルを大きく超える地震動への対応が求められている。この対応には免震建物の安全余裕度の評価が必要不可欠となるが,免震構造はロバスト性が低いという弱点があり,これを踏まえた構造安全性評価の統一的手法は未だ構築されていない。本研究では,免震構造のロバスト性の低さを踏まえた構造安全性評価法の構築と安全性確保のための構造計画・構造計算手法の提示を目的としている。令和2年度は,免震データベースの拡充と設計想定レベルを超える地震応答を評価可能な実用的解析モデルの作成について検討した。 1.免震データベースの拡充: 国内の免震建物(戸建て住宅を除く)は5000棟に及ぶ状況である。研究代表者はこれまで日本建築センターの公表資料に基づいてデータベースを作成しているが,対象は2017年までに公表された1500棟程度であった。収集期間を2020年までに拡張し,また他の評価機関からの公表資料も加えて,データベースの拡充を図った。 2.設計想定レベルを超える地震応答を評価可能な実用的解析モデルの作成: 免震構造の通常の設計領域を超える大変形に対応するため,積層ゴム支承のハードニング特性や擁壁部の水平抵抗特性などを実装した地震応答解析モデルを作成した。また,多数の実地震動記録を用いた漸増動的地震応答解析(IDA)を行い,フラジリティ曲線を用いて,免震構造と耐震構造の安全余裕度とロバスト性の比較を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症対策により研究室での活動が制限されたため,データベースの作成作業とその分析が当初の計画よりやや遅れている。また,設計想定レベルを超える地震応答を評価可能な実用的解析モデルの作成は行えているが,これを用いた地震応答解析がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,令和2年度までの活動を継続するとともに,免震建物のロバスト性と構造安全性の評価を重点的に行う。多数の観測地震動と漸増動的地震応答解析(IDA)を用いた確率論的評価法等を採用し,フラジリティ曲線等に基づいてロバスト性の定量的評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため学会発表が中止となるなど旅費が計画通り支出できなかった。また,論文投稿が計画通り行えなかったため,論文掲載料の支出などができなかったことが理由である。 翌年度分として請求した助成金と合わせて,研究推進のため研究員雇用の原資として使用する計画である。
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