研究課題/領域番号 |
20K04802
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
犬飼 利嗣 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30548326)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 施工 / 流動性 / レオロジー / 透水係数 / 耐久性 / 表層 / 物質移動抵抗性 / 評価手法 |
研究実績の概要 |
本研究では,これまでの研究経緯を踏まえ,フレッシュコンクリートの透水係数を評価指標とした新たな品質評価手法を提案する。すなわち,コンクリート施工の合理化と構造物の耐久性の推定が同時に図れる,フレッシュコンクリートの透水係数によるコンクリートの流動性評価手法および硬化後表層部の品質推定手法を提案する。 研究の2年目である令和3年度は,研究の初年度に開発した,粗骨材を含むコンクリートにも適用可能な小型羽挿入式試験器を用い,フレッシュコンクリートのレオロジー試験を試みた。その結果,羽根の挿入速度が小さくなると,試料には圧密圧力が支配的に働く傾向にあることが推察された。しかし,その一方で,挿入速度が75mm/min以上になると,せん断荷重と羽根挿入距離の関係はせん断領域と圧密領域に分けることができ,せん断領域の範囲にあるせん断荷重を平均すればせん断応力を求められることが示唆された。現時点では,降伏値や塑性粘度を測定するには至っていないが,研究の3年目である令和4年度には,これらのレオロジー定数を求められると考えている。 また,その一方で,硬化後表層部の品質推定手法に関する取り組みとして,小径ドリル型削孔試験によるドリル削孔速度と,引っかき試験法,機械インピーダンス法,および反発度法による各測定値との関係を検討するとともに,小径ドリル型削孔試験の適用範囲について検討した。その結果,ドリル削孔速度は,表層評価に関わる測定値が増加すると大きくなり,強度推定に関わる測定値が増加すると小さくなる傾向にあった。ドリル削孔速度はいずれの試験法の測定値との間にも相関関係が認められ,小径ドリル型削孔試験の表層評価および強度推定試験法としての適用可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,研究期間は4年間を予定しており,研究の2年目である令和3年度の目的は,研究の初年度に開発したコンクリートにも適用可能な小型羽挿入式試験器を用い,フレッシュコンクリートのレオロジー定数を求めることにある。現時点では,降伏値や塑性粘度を測定するには至っていないが,挿入羽根の幅や高さ,挿入速度,および試料容器の直径や高さについて再検討して試験装置を改良するとともに,実験結果の適用方法についても詳細に検討すればレオロジー定数は求められると考えている。開発した小型羽挿入式試験器によるフレッシュコンクリートのレオロジー定数の定量化は,研究の3年目である令和4年度も課題としているので,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の2年目である令和3年度は,研究の初年度に開発した,粗骨材を含むコンクリートにも適用可能な小型羽挿入式試験器を用い,フレッシュコンクリートのレオロジー試験を試みた。研究の3年目である令和4年度は,開発した小型羽挿入式試験器を改良し,フレッシュコンクリートのレオロジー定数を求めるとともに,考案した透水試験で得られる透水係数との関係を整理することを主な目的としている。また,本研究の最終目的は,フレッシュコンクリートの透水係数によるコンクリートの流動性評価手法および硬化後表層部の品質推定手法を開発にある。したがって,今後は小型羽挿入式試験器によるフレッシュコンクリートのレオロジー定数の定量化を詳細に検討するとともに,硬化コンクリート表層部の物質移動抵抗性評価についても検討する。また,コンクリート表層部の物質移動抵抗性を,促進中性化,塩化物イオンの拡散係数,ならびに凍結融解抵抗性などといった耐久性指標と比較検討する。さらには細孔構造やEPMAによる画像分析なども試み,物質移動抵抗性と各種耐久性指標ならびに分析結果を比較検討することで,硬化コンクリート表層部のより精度の高い品質評価手法を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由 当初,予定していた旅費および原材料費などの支出がなかったため。 次年度使用額の使用計画 次年度は,小型羽挿抜式試験器と吸引式フレッシュコンクリートの透水試験装置を改良することを計画しており,その際に使用する。
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