研究課題/領域番号 |
20K04803
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
池田 雄一 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (20758677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 観測された強震動 / 中間層免震建物 / 多段免震建物 / 耐震安全性 / 2016年熊本地震の強震動 / 2011年東北地方太平洋沖地震の強震動 / 国内外の強震動 / 2023年トルコ・シリア地震の強震動 |
研究実績の概要 |
2011年東北地方太平洋沖地震及び2016年熊本地震以後、設計を上回る想定外の過大地震入力に対処するための解決方法として、中間階に免震層を設けた中間層免震建物と、次世代型の複数の免震層を有する多段免震建物が免震構造設計者の注目を集めている。 基礎免震建物では、免震層の過大な変位応答の抑制対策や免震部材に生じる引き抜きや浮き上がりへの抑制対策は行われているものの、免震層が中間階に設置される中間層免震建物や免震層が複数(本研究では2つ)ある多段免震建物の免震層の最大変位応答量やアイソレータの引き抜き、引張面圧に関する研究は少ない現状にある。そこで国内外の主要な被害地震において実観測された強震動を用いた中間層免震建物及び多段免震建物の耐震性の検証を行うことが本研究の目的となっている。 初年度は、高層基礎免震建物のアイソレータの引き抜きに関する安全性の確認を行い、アイソレータの引き抜きが大きくなる強震動を把握した。 研究2年目は、基礎免震高層建物において、アイソレータに大きな引き抜きを生じさせ、且つ、免震層変位応答量が大きな強震動を抽出した。また、免震建物の振動模型による振動実験を行って、中間層免震建物の振動模型による地震時の地震応答性状を把握した。 研究3年目は、免震建物の免震層変位応答量が大きくなることを防止するために、設計者・研究者が開発した各種ダンパーを付加した地震応答解析を行って、免震層変位応答量を確認した。 2023年度は、これら強震動を、中間層免震建物及び多段免震建物に入力し、免震層の免震部材に大きな引張を生じさせる強震動の入力地震動特性と中間層免震建物及び多段免震建物の地震応答性状を把握し、強震動が中間層免震建物及び多段免震建物の免震層変位応答量やアイソレータの引張面圧に及ぼす影響について明示する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症に研究代表者が罹患し、学内研究室に登校することができず、研究全体が一定期間停滞することになった。加えて、学内にも多数の感染者が発生して、学校が遠隔授業になる期間も数回生じたため、研究が予定通りに進捗しない状況が続いた。 研究分野の各学会発表、研究シンポジウムは、少しずつ対面開催が増えたものの、日本建築学会は2022年度もリモート発表となり、研究者間の情報交流が少なくなった。そのため、最新の研究情報収集が難しくなった。対面研究発表の質疑等が、研究の進展の情報源となっていたが、リモート学会発表の質疑応答は活発な研究発表・研究議論が多くはなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス感染症対策も緩和され、研究活動及び研究交流が行いやすくなった。2023年度は、研究室内の研究協力者が増えて、研究が進捗する状況が整った。 そのため今年度は、昨年度予定していた研究に関するプログラムの構築及び開発を進めて、研究成果を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響を受けて、研究進捗状況がやや遅れていることにより、論文登載料が生じなくなった。他の予算獲得でカラープリンターカートリッジ及びカラープリンタートナーを購入したため、この分の消耗品の使用予定がなくなった。さらに、ソフトウェアの年間サポート費用を使用しなかった。 以上によって、予定の研究使用額に差異が生じた。 研究を1年間延長して、繰り越した差額分については、2023年の旅費及び日本地震工学シンポジウムの参加費、論文掲載料に充てる予定としている。
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