研究課題/領域番号 |
20K04812
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 大輔 日本工業大学, 建築学部, 准教授 (10567978)
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研究分担者 |
松岡 大介 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (40808177)
岩田 利枝 東海大学, 工学部, 教授 (80270627) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 昼光 / 定点観測 / 窓面の配光 / 昼光照明指標 |
研究実績の概要 |
初年度は①気象データの定点観測、②窓面配光測定装置の精度検証、③既存の昼光照明指標の整理を行った。 ①気象データの定点観測 ものつくり大学にて昼光の定点観測を行った。観測項目はグローバル照度、直射日光照度、天空光照度であり、測定間隔は昼光の変動にも対応できるように1秒間隔とした。継続的に精度良いデータを取得するために測定機器の校正や交換を行っている。1秒間のデータを用いて年間の変動を確認したところ、グローバル照度と天空光照度ともに視認性への影響が無視できない程の大きな変動は非常に少なかった。さらに室内に昼光を取り入れた場合について測定した気象データを用いてシミュレーションを行った。その結果、室内の直射日光による高照度部の変化は大きいことが明らかになった。 ②窓面配光測定装置の精度検証 照明メーカーから配光データが提供されている人工照明を用いて輝度分布画像を用いた窓面配光測定装置の精度検証を行った。使用した人工照明は配光曲線が異なる3種類のダウンライトとした。いずれの光源でも比較的精度よく配光データを測定することができたことから、この装置で窓面の配光も問題なく測定できると考えられる。 ③既存の昼光照明指標を整理 既存の昼光照明指標を整理し、本研究で扱う性能指標の位置づけを明らかにした。昼光照明指標は昼光装置の性能を評価する指標と、それによって得られる環境を評価する環境評価指標に分けられる。屋外立地条件を示す天空率から仰角別天空率を求め、さらに階別昼光率を推定する方法を考え、実測によって精度を確認した。また、現在提案されているDaylight Autonomy(DA)、Useful Daylight Illuminance (UDI)などの特徴をまとめ、照明省エネ率、過剰昼光率を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ等の影響により実験住宅の完成が遅れてしまったため、初年度に予定していた実験住宅での測定が出来なかった。その代わり、人工照明を用いた窓面配光測定装置の精度検証や実験住宅を想定した模型実験を行い、速やかに実験ができる体制を整えている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は①気象データの定点観測の継続、②窓面の配光データの取得、③相当発光効率の検討を行う。 ①気象データの定点観測の継続 気象データの定点観測については引き続き行い、グローバル照度や天空光照度の1秒間隔データといった詳細な昼光データを蓄積する。測定器に関しては随時、校正を行い精度良い気象データが取得できる体制を整える。 ②窓面の配光データの取得 2021年4月に実験住宅が完成したので、実験住宅の双子の部屋にて実験を行う。片方の部屋で窓面配光測定装置を用いて窓面の配光を測定し、もう片方の部屋で床面照度や室内輝度分布の測定を行う。昼光利用装置として窓スクリーンや障子紙を用いる。実験は太陽高度が高い夏期と太陽高度が低い冬期に行い、太陽位置が窓面の配光に与える影響について明らかにする。更に配光曲線データとしてまとめる。窓面配光曲線データからシミュレーションを行い、その結果と実測値の比較を行い、配光データを用いたシミュレーションの妥当性を検討する。 ③相当発光効率の検討 相当発光効率については市販されているガラスの光学特性値や気象データを用いて昼光がガラスや昼光装置を通ることによって、発光効率がどのように変化するかを検討する。また市販されている照明器具の発光効率やエアコンの効率も調査し、光と熱の観点から総合評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に完成予定だった実験住宅の完成がコロナ等の影響により遅れてしまった。その実験に用いる予定であった輝度計の購入を次年度としたため次年度使用額が生じた。令和3年4月に実験住宅は完成したことから、早々に輝度計を購入し、実験に備える予定である。
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