研究実績の概要 |
調光・調色制御が一般的になりつつある照明空間において、LED照明の制御過程で生じる照明光の色度の黒体軌跡からずれduvが空間の色の見えや雰囲気に与える影響を明らかにすることが本研究の目的である。 2021年度は、壁・床に同じ無彩色の内装材を用いた均一輝度分布の模型を用いて、照明光の色度の黒体軌跡からのずれduvが空間内の光の色味と空間の明るさ知覚に与える影響を被験者実験により検証した。相関色温度4条件(2700K,3400K,4600K,7000K)とduv5条件(-0.02,-0.01,0.00,+0.01,+0.02)の組合せに対し、照度3条件(220lx,440lx,880lx)を組み合わせた計60条件を評価した。その結果、照明光の色味は、照明光のduvがマイナス側に変化すると、7000K以外の条件で“赤みがかっている”側に評価された。duvがプラス側に変化した場合は“緑みがかっている”側に評価された。空間の明るさ知覚は、照度440lx、880lxの条件では、照明光のduvがプラス側に変化した場合、3400K以上の条件で有意に低下する傾向が確認された。 また、実空間により近い実験条件として、壁・床の内装材の反射率が異なる、空間内の輝度分布が不均一な模型でも、同様に実験を行った。照明条件は均一輝度分布の場合と同じ60条件で、模型内装面の反射率は均一2条件(反射率91%、61%)、不均一2条件(平均反射率約60%、壁81%-床28%、壁74%-床38%)の計4条件を組み合わせた全240条件を評価した。その結果、床面中央の照度220lx設定の条件で、duvがマイナス側に変化した場合、空間の明るさ知覚が上昇した一方で、 810lxで相関色温度が高い条件では、duvがプラス側に変化した直後に、空間の明るさ知覚は有意に低下し、内装材の反射率が均一な場合と類似の傾向を示した。
|