研究課題/領域番号 |
20K04816
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
近藤 靖史 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (20267339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エアカーテン / シーリング効率 / 実験 / CFD解析 / 擾乱気流 |
研究実績の概要 |
本研究では、店舗などの出入口からの外気侵入に伴う空調負荷をエアカーテンにより低減する方法を検討している。エアカーテンを屋外側に設置した場合、エアカーテンから吹き出された外気は一部室内に侵入する。また、エアカーテンを室内側に設置した場合、室内空気の一部は屋外に漏出する。一方、エアカーテンを室内側と屋外側に設置しそれぞれの吹出し風速と風量を同じ値とすると、外気の侵入と室内空気の漏出が少なくなることを前年度までの研究において示した。 エアカーテンの性能に影響を与える主な擾乱として、室内空調からの擾乱気流、通過する人に伴う擾乱気流、外部風の3つが挙げられる。今年度の研究では、アネモ型吹出し口からの空調擾乱気流による影響を実験とCFD解析により検討し、さらに人体擾乱を考慮したCFD解析を行い、エアカーテンのシーリング効率への影響を検討した。 実験は東京都市大学建築学科棟環境実験室において行った。室内を想定した空間(4.0m(X)×4.0m(Y)×2.5m(Z))を実験室と呼び暖房状態とする。また、その周囲空間(7.8m(X)×12.9m(Y)×3.5m(Z))を実験場と呼び、外部空間と想定する。また、CFD解析は以下の2つのステップで行った。①定常解析:各ケースで使用するエアカーテン、アネモ型吹出し口を稼働し、ドアが閉まった状態で温度・気流の解析を行った。②非定常解析:ドアを開けた状態で、時間間隔0.001s、実時間30sの解析を行った。 この結果、アネモ型吹出し口からの気流による空調擾乱がある場合、二重エアカーテンのシーリング効率は屋外側エアカーテンや室内側エアカーテンに比べて高いことを示した。また、扉開放直後においても二重エアカーテンのシーリング効率はほぼ安定していたが、屋外側エアカーテンや室内側エアカーテンでは扉開放後5~15sでシーリング効率が低下することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた実験が半分程度まで進んだが、コロナによる登学自粛期間が長かったので、実験の進捗が遅れた。また、実験システムの一部であるマスフローコントローラが故障し、さらに、半導体不足による修理や新規購入ができていない状況にある。このため、コロナがやや収まった2021年11月以降も実験ができなかった。 一方、CFD解析による検討は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
先ず、2021年度に実施できなかった実験を行う予定である。ただし、前述の半導体不足によるマスフローコントローラの新規購入が6月以降となり、その後、実験装置の稼働を確認した上で実験を進めることとなる。 一方、CFD解析による検討は順調に進むことができると考えている。また、エアカーテンの種類についても機器特性が良好なものに変更して検討していく予定である。 また、今まで得られた検討結果を日本建築学会や空気調和・衛生工学会の年次大会に投稿しており、発表する予定である。また、成果の一部は査読付き論文1報で既に公表されており、さらに査読付き論文にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験が半分程度まで進んだが、コロナによる登学自粛期間が長かったので、実験の進捗が遅れた。また、実験システムの一部であるマスフローコントローラが故障し、さらに、半導体不足による修理や新規購入ができていない状況にある。このため、コロナがやや収まった2021年11月以降も実験ができなかった。 今年度については、昨年度実施できなかった実験も含め、できるだけ予定していた多くの実験を進めたいと考えている。 また、今年度末の実験の実施状況を踏まえ、必要に応じて研究期間の延長も考慮したい。
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