• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

軽量小型かつ堅牢なセンサーによる吸音率測定精度の向上

研究課題

研究課題/領域番号 20K04823
研究機関日本大学短期大学部

研究代表者

星 和磨  日本大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50373171)

研究分担者 岡本 則子  大分大学, 理工学部, 准教授 (00452912)
富来 礼次  大分大学, 理工学部, 教授 (20420648)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード吸音率 / カーディオイドマクロホン / 音圧 / 粒子速度 / 音響管
研究実績の概要

研究代表者(星和磨)は,二本の異なるカーディオイドマクロホンを用いて,音響管に設置した材料の垂直入射吸音率を計測する方法を考案した。この方法で吸音率を計測するためには,カーディオイドマイクロホンが捉える電圧から音圧および粒子速度へ変換できることが前提となる。そこで研究代表者は,端部を剛壁とした音響管を用いて,マイクロホン固有の感度係数 (mV/Pa, および mv・s/m) を計測する方法を考案した。自作木製の音響管を用いて変換係数を測定した。さらにその係数と二本のカーディオイドマイクロホンを用いて吸音材の垂直入射吸音率を測定した。その結果,変換係数は大きさ(ノルム)だけでなく位相も利用しなければ,他の方法で計測した吸音率と同等の吸音率が得られないことがわかった。さらに,素材,断面形状,長さが異なる音響管を用い,同様の測定ができるか確認した。その結果,感度係数 (mV/Pa, および mv・s/m) の計測,吸音材の垂直入射吸音率の測定,ともに問題なく測定できることを確認した。
また研究分担者(富来礼次,岡本則子)は,マイクロフロウン社製の音圧-粒子速度センサに関して,温度が校正値および測定結果に及ぼす影響を調べた。その結果,校正時の温度変化が粒子速度センサの振幅値に影響を及ぼすことがわかった。また,現場に設置したグラスウールの吸音率測定において,現場の温湿度と校正時の温湿度が一致していれば,吸音率の値は概ね一致することがわかった。
さらに,カーディオイドマクロホンによる吸音率の現場測定が可能かを調べるために,共同で基礎実験を実施した。その結果,音響管で測定した感度係数 (mV/Pa, および mv・s/m) を用いることで,安定した測定値が得られることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各研究機関で実施しているセンサーの特徴把握に関する研究については順調に進んでいる。また今年度,研究代表者と研究分担者は,同一の建築材料の吸音率の現場測定実験を初めて実施した。その結果,開発しているカーディオイドマクロホンを組み合わせたセンサーによって,感度係数を用いることで所望の吸音率を測定できることを示唆するデータを得た。

今後の研究の推進方策

今年度は,同一の吸音材を複数のセンサーで計測する実験を共同で実施し,複数のセンサーによるデータを得ることができた。今後このデータを分析するとともに,来年度は条件を増やして数回実験する予定である。またここで得られた成果が妥当であると判断できれば,国内外の学会で発表する予定である。また共同実験を重ね確たる事実が得られ次第,論文を投稿する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により,当初の研究目標を達成するための共同実験が実施できていないため旅費に残額が生じた。そこで来年度内に数回共同実験を実施するための旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Method for analyzing sound pressure and sound particle velocity using cardioid microphones2024

    • 著者名/発表者名
      Hanyu Toshiki, Hoshi Kazuma
    • 雑誌名

      Acoustical Science and Technology

      巻: 45 ページ: 90~97

    • DOI

      10.1250/ast.e23.38

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] C-C法を用いた音響透過損失測定の試み2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤 菖, 石塚 崇, 星 和磨, 鈴木 諒一, 羽入 敏樹
    • 学会等名
      日本音響学会第151回(2024年春季)研究発表会
  • [学会発表] カーディオイドマイクロホンを用いた音圧と粒子速度の解析手法2024

    • 著者名/発表者名
      羽入敏樹, 星和磨
    • 学会等名
      日本音響学会第151回(2024年春季)研究発表会
  • [学会発表] 二本のカーディオイドマイクロホンと音響管による垂直入射吸音率の測定 -複数の音響管による測定結果の比較-2024

    • 著者名/発表者名
      星和磨, 羽入敏樹
    • 学会等名
      日本音響学会第151回(2024年春季)研究発表会
  • [学会発表] アンサンブル平均を用いた in-situ 吸音測定法による人工芝の吸音特性の測定の試行2024

    • 著者名/発表者名
      今岡賢宝, 富来礼次, 岡本則子, 大鶴徹
    • 学会等名
      日本建築学会2023 年度(第 63 回)九州支部研究報告
  • [学会発表] Calibration of a cardioid microphone for improving accuracy of normal impedance measurement in a tube2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuma Hoshi, Toshiki Hanyu
    • 学会等名
      he 52nd International Congress and Exposition on Noise Control Engineering (Inter-Noise 2023)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 二本のカーディオイドマイクロホンと音響管による垂直入射吸音率の測定2023

    • 著者名/発表者名
      星和磨, 羽入敏樹
    • 学会等名
      日本音響学会第150回(2023年秋季)研究発表会
  • [学会発表] 音圧 - 粒子速度センサを用いる材料の吸音特性のin-situ 測定法に関する研究 恒温恒湿器によるセンサ感度の検討2023

    • 著者名/発表者名
      今岡賢宝, 富来礼次, 岡本則子, 大鶴徹
    • 学会等名
      2023年度日本建築学会大会学術講演会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi