研究課題/領域番号 |
20K04825
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
岩見 達也 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 防火基準研究室長 (20370744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 誤検出 / ヘリテレ / ジオロケーション / 座標変換 |
研究実績の概要 |
本研究では深層学習の手法を応用して、映像記録から火災・火炎の位置を特定し、燃焼状況(発熱速度や火炎形状等)を正確・迅速に検出・解析する技術の開発を目的として研究を実施する。 2021年度は2020年度に作成した検出モデルに基づいて東日本大震災時の火災映像への適用を行った。その結果、昨年度の学習データでは多くの画像に火災が映るため、火災以外の学習が進まず、火災以外のものを火災として誤検出する傾向があることが確認された。火災以外の教師データを追加することで精度の向上を見込めることが推定され、検討課題として整理した。 また、火災検出結果のジオロケーションプログラムを作成した。地形(基盤地図情報数値標高モデル5mメッシュ又は10mメッシュ)データを用いて、映像の撮影位置、撮影方向、画角等の情報に基づいて映像から切り出した画像に対して画像内のピクセル座標から地理座標に変換が可能となった。これにより、火災検出結果を示す画像内の検出枠の各ピクセル座標を地理座標(緯度・経度)に変換して地図表示することが可能となる。テスト画像による検証により1画像あたり0.1秒~0.3秒程度で処理可能であることが確認され、リアルタイム処理においても実用可能であることを確認した。併せて、ヘリテレ映像の画像及び撮影位置等の撮影パラメータ(撮影位置の緯度・経度、カメラの撮影方向、画角等)のデータ処理フローの検討を実施し、実際にヘリテレ映像を解析する上での課題の整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深層学習モデルの構築は一定の精度で火災を検出できることを確認した。様々な条件での検証の結果、適合率に課題が見つかったが、改善に向けて対応可能であり概ね順調に進展している。 火災性状解析プログラムの開発に関しては火災検出プログラム及び火災検出結果のジオロケーションプログラムを開発した。ヘリテレ映像の取得機能について、新型コロナウィルス拡大の影響及びこれに伴う半導体不足の影響により、ヘリテレ映像に重畳される撮影位置やカメラパラメータ等の情報を取り出すために必要となる機器の入手ができなかったため、やや遅れが生じているが、今後当該機器の入手が可能となれば対応可能である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の検討により、火災以外の画像での誤検出の課題が明らかとなったことから、モデル学習のための教師データについては、火災画像の収集を継続するとともにこれと並行して火災以外の画像を整備する。 火災検出プログラムと火災検出結果ジオロケーションプログラムを結合し、入力映像に基づいて、火災の検出、火災性状の推定、地図への自動マッピングを行う火災性状解析プログラムのプロトタイプを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響及びこれに伴う半導体不足の影響により、ヘリテレ映像に重畳される撮影位置やカメラパラメータ等の情報を取り出すために必要となるモデムの生産見込みがたたず調達不可となった。これにより、実際のヘリテレ映像を用いた映像入力機能の開発ができなかったため、当該機材の調達及び機能開発を2022年度に行う計画とした。
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