大規模地震発生時には広範囲で多数の火災が発生し、木造密集市街地を中心に大規模延焼火災となる可能性が想定されている。これらの火災に対応するために迅速で正確な状況把握が欠かせないが、広範囲で同時的に進行する状況を的確に把握することは極めて困難である。そこで、本研究では、深層学習の手法を応用して、空撮映像から火災・火炎の位置を特定し、燃焼状況(発熱速度や火炎形状等)を正確・迅速に検出・解析する技術の開発を目的として以下の検討を実施した。 深層学習を用いた画像解析により映像内の火災を検出するプログラムについて、2021年度までに検出モデルを構築し、2022年度はこれを改良し、新たな教師データを加えた学習により火災検出精度を向上させた。 また、火災の位置及び規模を推定するため、上記モデルにより得られる画像上のピクセル座標を地理的座標へ変換したうえで、火災の燃焼範囲や火炎の高さを求め発熱速度等を予測するモデルを作成した。2021年度までに防災ヘリでの実装を想定して機体の位置、姿勢、カメラのパラメータ(機体に対する相対的位置・角度、画角等)を入力して火災検出位置の地理的位置を求めるジオロケーションプログラムを開発し、2022年度はこれを用いて、火災の前面幅及び高さを測定し、正方形火源に近似して火災の発熱速度を予測するモデルを構築・プログラム実装を行った。 以上を用いて、火災検出、撮影範囲と火災範囲のジオロケーション及び火災規模を推定して地図上に表示する技術を開発し、2016年新潟県糸魚川市の大規模火災を空中撮影したヘリ映像から作成したテストデータ及び過去に実施した燃焼実験映像を対象に火炎高さ及び発熱速度等の推定を行い検証を行った。
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