1.在室者の有無を精度よく推定可能なIoT・センシングシステムを、オープンソースハードウェアであるArduino と各種センサを用いて構築した結果、以下の知見を得た。①加速度センサ・人感センサを用いた扉の計測結果より、人の出入りを判断できた。②振動センサを用いた扉の計測結果より、振動センサは、扉の開閉を把握するのに適していないことがわかった。③音センサの計測結果より、扉の開閉時や人の通過時に計測値が大きく変化していた。④照度センサの計測結果より、照明器具の点灯状況を把握できた。⑤在室者の有無の判断を行うには、複数のセンサを組み合わせて、総合的に判断する必要があることが分かった。 2.建物の被災程度を精度よく推定するため、機械学習を用いた被災時における室内家具の転倒判定に関する研究を実施した。実験パラメータを撮影角度、家具の色として実施した結果、撮影角度は斜めよりも真上から撮影した方が正解率は高かった。また、家具の色が正解率に与える影響は小さかった。 3.被災者の状況や建物の被災程度に関する情報の有無が、災害救助活動支援システムに与える影響を検証するため、MAS(マルチエージェントシミュレーション)を用いた数値実験を実施し、以下の知見を得た。①在室者の有無に関する情報を取得できると、救助完了時間と最終的な死亡者数を改善できた。②健康状態に関する情報を取得できると、死亡者数を約 20%減少できることを確認した。 4.高層建物を対象とした避難シミュレーションを、一斉避難、順次避難を想定したシナリオのもとで実施した。タワー建築の建物特性を考慮したシミュレーション及び、避難状況を把握した上で最適な避難順序を提案するシステムを構築し、その効果を検証した。
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