研究課題/領域番号 |
20K04833
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片山 健介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (00376659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 広域計画 / 人口減少 / 立地適正化計画 / 広域連携 |
研究実績の概要 |
課題I「日本における市町村間連携の取り組みの到達点と課題の解明」に関して以下の研究を行った。 第一に、立地適正化計画文書において広域連携がどのように意図されているかを読み取ったところ、空間政策における広域連携は充分に示されていないことがわかった。しかし、特に広域連携施策に取り組んでいる自治体において、広域連携の意思を示している傾向があり、医療、教育、文化などの都市機能を大都市に依存する例がみられた。これらの結果を踏まえ、土地利用管理および都市機能の分担のためのプランニング・プロセスと広域ガバナンスの必要性、広域連携を促進する上での他分野での経験の有用性を仮説的に提示した。この日本の経験については、European Week of Regions and Cities(EWRC)で発表し、欧州の参加者と議論を行った。 第二に、広域的な立地適正化の方針を策定している中播磨圏域を対象に、方針の策定プロセスを明らかにした。関連計画の分析により、広域方針における拠点と各市町の立適の拠点の整合性がとられていることを確認した。また、姫路市へのヒアリング調査から、広域連携が進んだ要因として、日常的に都市計画について意見交換できる体制があったこと、中心都市である姫路市の都市規模が大きく連携を図りやすかったことがわかった。一方で、公共施設の統廃合など合意形成が困難である分野については踏み込めていない。このことが広域方針の策定を可能にした側面もあるが、今後の連携における課題となっていることも明らかとなった。 課題II「欧州における広域計画策定技法の事例研究」については、既往文献のレビューを行い、都市縮小のプランニングにおけるパラダイム転換と広域的視点の必要性が指摘されていること、オランダやポルトガルにおける人口減少局面でのプランニングの事例などを確認した。これらは次年度以降の対象地域選定の参考になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、課題IIについて予備的な現地調査を行う予定であったが、新型コロナの感染拡大により海外渡航ができなかったため、調査が実施できなかった。そのため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、課題II「欧州における広域計画策定技法の事例研究」を中心に研究を進める計画である。既往文献・調査研究のレビューを行い、対象都市圏を複数抽出し、都市圏の特性に応じた広域計画策定技法について詳細に分析を行う。 ただし、新型コロナの感染拡大は依然として続いており、今後、いつ頃に現地調査が行えるのかは見通せない状況である。 一方で、EWRC等を通じて、人口減少局面における都市・地域政策を専門とする欧州の研究者との新たなネットワーク構築の可能性もある。今後は、オンラインによる予備的な調査も想定して、研究を推進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算計画では、国内外の現地調査のための旅費、通訳謝金、テープ起こしでの使用を想定していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外渡航ができず、現地調査が行えなかった。加えて、国内でも感染が拡大している大都市圏等への移動が所属機関により制限されていたため、姫路市(兵庫県)のヒアリング調査もオンラインで実施した。これらのことから、旅費、人件費・謝金、その他の費目で未使用額が生じた。 次年度も先行きが見通せないため、現段階では予定通りに使用する計画であるが、感染拡大状況を踏まえて判断したい。
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