研究課題/領域番号 |
20K04848
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田上 健一 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (50284956)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 一団地認定制度 / 団地更新 / コンパクトシティ / 集合住宅 / 住宅地計画 / 建築計画 |
研究実績の概要 |
建築基準法の一団地認定制度は、住宅開発需要が大きな時代に活用された制度で、高度成長期の大規模団地整備に多大な役割を果たした。しかしながら、住宅の「供給」プロセスにおいては有効であった一方で、「更新」プロセスの整備が必要とされる現在では、土地所有者・借地者全員の合意という要件の厳しさ等が更新の妨げとなっている。 本研究は、一団地認定制度に着目し、制度の変遷や認定事例の個別分析等を通して、その課題と改善の方向性について検証することを目的としている。 初年度は、自治体の所有する確認申請過去台帳から一団地認定状況のデータベース化を行い、「史的経緯」「地理的分布」「開発主体」「規模・用途」とともに、適用条項や緩和条項、複数回認定等による「認定内容の変化」を明らかにした。この中で、複数回の認定が適用されるケースが多く見られたため、2年目は複数回認定に焦点を絞り、個々の詳細分析とケーススタディを実施した。その結果、施行細則の変更後に適用された認定が従前認定よりも敷地面積が小さいなどの現行基準には適合しない認定形態が多数みられ、認定解除の際に大きな問題となり得ることを把握した。また、そこには住宅団地も多く含まれ、制度の位置づけ・対応への複雑さとともに、所有者全員による合意形成の困難さとその解決手法の提示が重要であることを指摘した。 最終年度はこれらを踏まえ、地域ごとに異なる諸条件を十分に考慮しながら各ケースを精査し、認定の解除あるいは非解除での団地更新の制度的手法について提示する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 一団地認定に係るデータベース構築し、史的・地理的・規模内容等の外形的な状況把握は完了している。その上で、個別ケースの精査・分析を進めている。しかしながら、個別ケースにおいては想定していたよりも地域毎の細則や担当者判断などの不明点が多く、個別に特定行政庁・担当課等への再確認等が必要であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
個別ケースにおいては想定していたよりも地域毎の細則や担当者判断などの不明点が多く、個別に特定行政庁・担当課等への再確認等が必要であることがわかった。最終年度はこの点に注力し、これら分析結果に基づく一団地認定の解除という実装化へ向けた論理構築作業を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による移動制限のため、首都圏および中部圏の調査が履行できなかったことが主たる理由である。
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