研究課題/領域番号 |
20K04851
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小伊藤 亜希子 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (90257840)
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研究分担者 |
王 飛雪 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 客員研究員 (30833074)
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 住宅 / 世帯内単身者 / 住み方 / コミュニケーション / 子ども / 家庭の仕事 |
研究実績の概要 |
家族規模が縮小している現代において、近代核家族の器として普及したnLDK 型住宅ストックと実際の家族の住要求のズレを検証することを目的とするものであり、2年目の2021年度は主に2つの調査を実施した。①30代から50代の世帯内単身者世帯を対象とした住生活に関する調査で、WEBアンケート調査と、訪問とウエブインタビューによる事例調査、②全国に居住する小学校5年生と6年生の子どもを持つ保護者800名を対象とした子どもの家庭の仕事の実践に関するWEBアンケート調査。 世帯内単身者を対象とした住み方に関する調査からは、主に次の結果を得た。①世帯内単身者の多くが学生の頃と同じ親名義の戸建て又は長屋に住み続けており、社会人になった後も子ども部屋のままの住空間で暮らしている。②一方、専用スペースで過ごす時間と行為が、特に40代以上で男女ともに増加し、専用スペースが住生活の中心になっている。③公私室滞在率と夕食の取り方から4つの家族とのコミュニケーション型(CMC型)に分類した結果、性差、年齢差があり、型ごとに住生活や家族との関係に大きな違いがあった。これらから、年齢が上がるにつれて、子ども部屋のままの専用スペースと住生活のズレが拡大していることを指摘した。この結果は、日本建築学会の近畿支部で報告予定である。 子どもの家庭の仕事の実践に関する調査からは、子どもの家庭の仕事の実践に影響する要因について、子どもや家族に関する要因のみならず、LDKの配置や家事に関する空間・設備の特徴、家族の住まい方などの住宅要因の影響を明らかにした。この結果は、日本家政学会大会で報告予定である。 また子ども独立後の夫婦世帯調査の結果は査読論文を投稿し(掲載決定)、中学生以上の親子世帯の調査結果は、日本建築学会の近畿支部に投稿、及び建築学会大会で口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに実施済みの、子ども独立後の夫婦世帯調査の結果については、日本建築学会の計画系論文集に投稿し掲載予定、中学生以上の子のいる親子世帯調査の結果は、日本建築学会近畿支部と大会で発表した。2022年度は、予定どおり、新たに世帯内単身者調査を実施し、日本建築学会近畿支部学で発表の予定である。コロナ感染の影響で訪問調査は限定されたが、ウエブインタビューでも、間取りや写真を提供してもらうことで、一定補うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
3つの世帯類型の調査が終わったため、今後は、若年夫婦世帯等の縮小家族の調査とを引き続き行うとともに、リフォーム調査を予定している。 また、これまでの調査結果については、学会支部や口頭発表を行った上で、査読論文としてもとりまとめる予定である。 コロナ禍において、ウエブアンケート調査は問題なく実施し、ウエブインタビューの方法も改良してきているが、状況が改善すれば訪問ヒアリング調査も増やしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会がすべてオンラインになったこと、訪問調査をオンラインインタビューに切り替えたこと、研究分担者との打ち合わせもオンラインで行ったことから旅費をほとんど使わなかった。 今後も同様の状況が続く可能性があるため、ウエブアンケートやウエブインタビューに重点をおき、調査を進める予定である。
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