研究課題/領域番号 |
20K04855
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山中 新太郎 日本大学, 理工学部, 教授 (30459862)
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研究分担者 |
中田 千彦 宮城大学, 事業構想学群, 教授 (60262250)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 防災集団移転 / 東日本大震災 / 環境適応 / 居住地選択 / 居住地移転 / 住宅再建 |
研究実績の概要 |
東日本大震災の津波による被災者は、震災後短期間に複数の居住地移転を強いられ、これまでに、仮設住宅及び防集団地、災害公営住宅または自力再建住宅などの移転先を選択してきた。これら移転先の選択時期や要因は世帯によって異なる。本研究は、研究代表らが2012年から継続的に復興支援や近隣付き合いの変化などを調査してきた石巻市雄勝地区の被災世帯のうち、雄勝地区から離脱することを決断して近隣の大規模防集団地である二子団地へ移転した約200世帯に加え、河北地区と北上地区から移転した約150世帯を対象にする。移転先選択の時期及び要因と住民活動への参加状況、外出行動と頻度、現在の生活に対する評価を調査により把握し、これらの相関性を分析することで、移転先選択のプロセスが、新たな環境への適応状況にどのように影響しているのかを明らかにし、今後の防災集団移転計画のための有用な知見を得ることを目的としてきた。 2020年度は、研究課題1「震災復興による環境変化と大規模防集団地居住者の互助・交流に関する研究」の調査結果分析と研究課題2「東日本大震災における被災世帯の居住地選択の時期と理由」の調査に取り組む予定だったが、予定されていたインタビュー調査がコロナウイルスの影響で実施出来なかった。その代わり、第1回目「家族・日常生活・会話相手や相談相手」、第2回目「親族や団地の方との交流・支え合い」、第3回目「二子団地への移転を選択した時期と理由の把握」と、合計3回のアンケート調査を実施。ここから住民活動への参加状況、各住民の外出先、外出頻度、近所付き合いの内容と頻度、現在の生活に対する評価を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)調査の実施内容 新型コロナウイルスの影響で対面でのヒアリング調査は中止、書面でのアンケート調査を実施。第1回「家族・日常生活・会話相手や相談相手」(2020年7月に実施、143世帯(40.4%)から回答),第2回「親族や団地の方との交流・支え合い」(2020年8月に実施、75世帯(21.2%)から回答),第3回「二子団地への移転を選択した時期と理由の把握」(2020年11月に実施、132世帯(37.3%)から回答)合計3回のアンケート調査を実施し、大規模防集団地における世帯や居住者の環境の変化と交流の関係性を調査した。 2)研究の進捗 「研究課題1.震災復興による環境変化と大規模防集団地居住者の互助・交流に関する研究」については、大規模防集団地居住者の新しい生活実態、環境の変化と関係性を明らかにし、震災前の居住地域と互助・交流の実態を把握出来た。「研究課題2.東日本大震災における被災世帯の居住地選択の時期と理由」については、震災後に大規模防集団地(二子団地)へ入居した世帯を対象に移転選択の時期や理由を把握することによって、世帯ごとによる移転の経緯が明らかになった。 研究課題2.の予備調査としてインタビュー調査を3つの町内会役員を対象に行い、住民活動の種類と内容を把握し、その結果を基に住民活動への参加状況のアンケートを作成する予定だったが新型コロナウイルスの影響で中止となった。これにより進捗がやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は新型コロナウイルスによる影響により、前年度以前から行っていた現地でのヒアリング調査が実施できなかった。次年度では宮城大学を中心に現地町内会へのヒアリング調査を予定している。 令和3年度は研究課題1「震災復興による環境変化と大規模防集団地居住者の互助・交流に関する研究」の調査結果分析と研究課題2「東日本大震災における被災世帯の居住地選択の時期と理由」の調査に取り組む。住民の生活実態と現在の生活に対する評価を解明するために、第2回アンケート調査を行い、住民活動への参加状況、各住民の外出先・外出頻度、近所付き合いの内容と頻度、現在の生活に対する評価を把握する。GPSロガー調査を行い、 対象者の移動履歴(座標と時刻)の測定結果から住民の日常的な行動範囲を把握し、これらの結果を新たな環境への適応状況の指標として分析に用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に行った調査は長期的な視点での観察が必要である。また、令和2年度は新型コロナウイルスの影響で予定にあった調査が中止になっているため、次年度使用額が生じている。 次年度は二子団地の3つの地区会へのヒアリング調査の企画、データ整理、初年度の成果と合わせた分析、現地調査への参加の費用に使用する予定である。
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