研究課題/領域番号 |
20K04856
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
坂井 文 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (80401701)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 公民連携 / 公共性 / マネジメント / 地域連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、都市開発によって創出された民有の公的空間の持続可能な民間管理のあり方について議論するために、特に英米で展開されている、民有公的空間の公共性についての議論の動向、民間の取組みや行政による民間管理の状況把握や関与の手法を明らかにし、わが国における萌芽的な取組みを把握したうえで、今後の展開について議論することを目的とする。 わが国における都市開発にともない創出される公的空間の数は増加しており、そのうちには民間管理による賑わいの創出が促進される一方で、管理が行き届かないものもある。他方、英国においては、行政による都市計画補足図書の策定等による公共の利用に供する都市空間としての位置づけや、民間による持続可能な財源確保の手法が展開されている。 英国の特に首都ロンドンにおいて、現地ヒアリング調査と実地調査を行い、都市開発を通して創出される民有公的空間の量的拡大と同時に質的な向上を確認した。同時に、民有公的空間の増加に対して、公共性の担保の懸念が議論されていることを確認しながら、行政側の対応を調査した。その結果、都市開発の最も多い大ロンドン庁では、都市開発の際に必要となる都市計画補足図書において、民有公的空間の管理運営に関する協定書が位置づけられたことを確認した。本制度は開始されたばかりであり、今後その適用事業についてケーススタディしながら、行政による民間管理の状況把握と関与の手法についてその効果と課題を検証していく予定にしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度下半期頃から新型コロナウイルス感染症拡大は縮小の傾向となり、海外調査が可能となったため、夏期に渡英し現地調査を行い調査が進んだ。一方で、米国の調査は遂行できずにおり、次年度遂行の予定にしている。
|
今後の研究の推進方策 |
23年度は新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたこととにともない、海外調査の遂行が可能となる。これにともない、23年度には海外における現地調査を予定している。 具体的には、英国のロンドンを中心とした都心部の既成市街地における都市開発によって創出された民有公的空間の持続可能な民間管理の手法について、現地ヒアリングと実地調査を行う予定である。昨年度確認した、大ロンドン庁による都市計画補足図書における民有公的空間の管理運営に関する協定書の運用状況を把握し、行政による民間管理の状況把握と関与の手法について、その効果と課題を検証していく予定にしている。 米国については、対象都市としてニューヨークを想定していたが、西海岸のサンフランシスコやシアトル、ポートランドにおいても都市開発によって創出された民有公的空間の民間管理における先進的な取組が見られ、今後の文献調査を通して最終的な対象都市を決定し、現地調査を遂行する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
21年度中および22年度上半期の新型コロナウイルス感染症拡大による海外調査の制限により、研究計画の変更を余儀なくされ、次年度に海外調査を遂行することとなったため、次年度使用額に変更が生じた。
|