研究課題/領域番号 |
20K04865
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
有田 智一 筑波大学, システム情報系, 教授 (90344861)
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研究分担者 |
川島 宏一 筑波大学, システム情報系, 教授 (00756257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オープンデータ / 市民セクター / ICT / まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「市民セクターの主導によってICT活用により具体的な公共政策課題を発掘し、その解決策を提案し、社会実装してゆける一連の活動を促進するための地域主体の仕組みづくりをどのように行うべきか」という問いを明らかにすることにある。 2022年度における本研究の目標は、オープンデータの活用・普及に係る課題を明らかにするため、先行自治体におけるオープンデータをめぐる行政と民間の協働環境の形成のプロセス、ならびに持続可能なプラットフォームが生成してゆくために必要な要素を調査するとともに、ICTまちづくりによる地域課題解決策を実際に社会実装する際の課題を検討することである。 具体的には、行政とシビックテック・コミュニティとの協働環境の形成のプロセスについて、先進的取り組みがみられる3都市(金沢市、会津若松市、鯖江市)を対象として、両者の関係の構築や主要なアクター、協働環境に変化を与える要因などを検討した。主要アクターに関しては、ITやデータの有用性に理解を有する首長とリーダー的職員、民間の側ではITやデータの地域性への理解と熱意のあるシビックテック・コミュニティのリーダーが、協働の基盤の中核的存在となることが明らかになった。 更に、水害などの災害対策におけるICT活用を想定したケーススタディを行い、特に2021 年 5 月に災害対策基本法の改正が行われ全国の市区町村に対して個別避難計画の作成が努力義務化された一方で、同時期に改正された個人情報保護法の影響により、自治体の現場での避難行動要支援者名簿の情報共有の手続きにおいて行政コストが増加してしまっている懸念がある状況が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症拡大等の影響もあり、自治体等の現場に対する個別のインタビューの実施や現場での具体的検討等が予定通りには進捗していない点で、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
先進地域・先進事例を対象とするインタビュー調査を昨年度に引き続き実施することによって、市民セクター主導による地域課題解決のアイデアを実際に社会実装するための地域主体の仕組みづくりのために必要な支援の仕組みについて調査検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症拡大の影響で、自治体等を対象とした現地調査とインタビュー調査が予定通り進捗しておらず、旅費の執行が進んでいない。2023年度については、可能な範囲で現地調査を実施致したい。
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