研究課題/領域番号 |
20K04866
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
杉田 早苗 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90313353)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 都市公園 / Park-PFI / 社会的課題解決 / 市民参加 / 民間活力 |
研究実績の概要 |
本研究では、近年民間活力が導入された公共空間を対象に、①公共空間が備えるべき基本的機能の実態把握、②民間活力導入時・運営段階へのステークホルダー参加に関する実態把握、③積極的な社会的課題解決に向けた取り組みに関する実態把握を行い、そのうえで、④収益性や賑わい創出を可能としつつ積極的な社会的課題解決に貢献しうる公共空間を創出するための方策を明らかにすることを目的としている。 2020年度はまず、民間事業者による公共空間の整備・維持管理に関わる事例を収集することを目的とし、Park-PFI事業を実施する全国の46事例(2020年7月時点)を整理し、アンケート調査のための調査対象事例をリストに整理した。また、来年度実施する予定であったアンケート調査を一部の事例8つを対象として先行的に実施した。アンケート調査は8事例の自治体および事業を担当した民間事業者の計16団体を対象に行い、自治体は8団体すべて、民間事業者は半数の4団体から回答が得られた。 調査内容は、①公共空間機能の変化、②ステークホルダーの参加の有無、③社会的課題解決に向けた実践の有無である。調査の結果、②ステークホルダーの参加については、自治体では、事業の初期段階にはアンケート調査等が一部みられたが、市民を対象としたワークショップ等、自治体と市民との双方向の議論による事業方針の検討等は確認されなかった。また民間事業者では、事業応募時の参加を実施したのは1事業者のみ、公園の供用開始後の参加は、地元のまちづくり協議会への参加等はみられたが、公園の管理運営段階も含めた積極的な市民参加はみられなかった。③社会的課題解決に向けた実践の有無については、公園内の管理運営にとどまらず、周辺地域の耕作放棄地の問題解決に取り組むなど、地域的課題解決に対する積極的な取り組みを実践している事例を確認することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、2020年度は事例収集までを想定していたが、民間事業者による公共空間の整備・維持管理に関わる事例としてPark-PFI事業に焦点を当てることとし、当該事業を実施している事例の一部に対して、先行的にアンケートを実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、まず、全国のPark-PFI事業を実施する事例で2020年7月以降に追加されたものを調査対象事例としてリストに整理する。 また、整理した全国の事例のリストから、公園施設の供用が開始されてから半年以上が経過した公園に対して、アンケート調査を実施する予定である。調査内容は、前年と同様の①公共空間機能の変化、②ステークホルダーの参加の有無、③社会的課題解決に向けた実践の有無である。 さらに、2020年度・2021年度のアンケート結果からグッドプラクティス事例を選定し、社会状況を勘案しつつ、可能であれば2022年度に予定していたヒアリング調査を先行的に開始する。ヒアリング調査の対象はグッドプラクティス事例に関わる自治体または民間事業者の一方または両方である。ヒアリング調査では、アンケート調査で把握した①公共空間機能の変化、②ステークホルダーの参加の有無、③社会的課題解決に向けた実践の有無、に関してより詳細に聞き取りを行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は民間事業者による公共空間の整備・維持管理に関わる事例の整理に対して人件費を付けていたが、事例収集としてPark-PFI事業に焦点を当てることとしたことから、人件費の未使用額が発生した。 2021年度は、アンケート調査・ヒアリング調査に関わる消耗品費および調査実施とまとめの協力者への人件費、ヒアリング調査が現地で実施が可能な場合は旅費に使用する予定である。
|