研究課題/領域番号 |
20K04868
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
渡辺 公次郎 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (30372717)
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研究分担者 |
辻岡 卓 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (20389159)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農地 / 土地利用計画 / 類型化 / 土地利用規制 / グリーンインフラ / 災害リスク |
研究実績の概要 |
2021年度は、徳島都市圏を対象に(1)農地の変化要因分析、(2)災害リスクと居住利便性からみた土地特性の分類、徳島県小松島市を対象に(3)災害に関する複数要因から見た市街地変化分析、そして(4)近年の水害により被災した7自治体における土地利用規制と被災状況の分析を行った。(1)(2)より、水害リスクが高い地域に農地が広がり、大半が調整区域となっている。しかし分散的な市街化が進んでおり、今後も継続する可能性がある。災害リスクと居住利便性の両方が高い地域も多い。(3)より小松島市では1960年代以降、国道建設や沿岸域の工業地化が進み、分散的な市街化が進んでいる。その一部が、水害、津波、土砂災害リスクが存在する地域と重なっており、年代が進むにつれて災害リスクへの危機感が減少していることが考えられる。ところで、近年、農地が持つ災害時の洪水調整機能が注目されているが、その観点から(4)を行った。まず、自治体の農業担当者にアンケート調査を行ったところ、農地の荒廃化は進んでいるが、農地を維持することで防災に利用する意識はほとんどなかった。次に、被災状況と土地利用規制の関係を、久留米市を対象に詳細に分析したところ、調整区域、農用地区域で分散的な市街化が進んでおり、その大半が、予測浸水域と重なっており、被害が増加していたことが分かった。 以上より、近年の災害激甚化は、現在の都市計画制度や農地制度による土地利用規制では、対応できていない。農地による洪水調整、リスク評価をベースにした開発許可など、現在の制度だけでは対応できない部分について、新たな視点が必要なことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度もコロナ禍により成果報告の機会がほとんどなく、現地調査も限定的なものとなった。2021年度は、2020年度に引き続き、土地利用特性の分析、評価、アンケート調査を中心に進めたため、システム開発が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
2020、2021年度までの知見を基に、1つのシステムとして稼働できるモデルの開発、その利用可能性を試行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により国内外で成果発表の旅費が支出できなかった点、システム開発に着手できていない点がある。2021年度に行った調査、分析を基に評価手法を見直し、次年度研究費と合わせてシステム開発に使用する予定である。
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