研究課題/領域番号 |
20K04870
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
清水 肇 琉球大学, 工学部, 教授 (40244280)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歴史的環境 / 場所の記憶 / 沖縄 / 近現代史 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度にあたり、沖縄県内各地域の近現代史に関わる歴史的環境に関わる調査、および、韓国、済州大学所蔵の沖縄戦時の空中写真の複写の実施を予定していたが、新型コロナウィルス感染症に関わる状況によって海外渡航ができないことと県内の現地調査の実施上の障害のため、沖縄島北部地域の一集落の戦後の地域環境史に関わる調査のみを実施した。 沖縄島北部地域は山原と称され、森と海の間の限られた居住域に集落が立地し、山地から珊瑚礁に至る諸資源を活用した集落生活に特徴がある。その一つであるJ集落において、近現代史に関わる記憶を聞き取り調査により整理した。 J集落は山で得た用材や薪等を、戦前の山原船、戦後のトラック輸送によって沖縄島中南部に出荷し生活の糧としてきた。集落近辺の山は段々畑として利用され、さらに奥の森までが生業の場であった。山中までが生活域であり、沖縄戦時には山間に居住場所を築いて共同生活が行われた。 環境に関わる戦後の大きな変化は、沖縄の日本復帰前から始まっており、1960年代には山地でサトウキビ畑開発が行われた。山地開発は山に関わる生活の変化とともに土の流出による礁池の環境変化につながり、さらに沿岸の国道建設に伴う埋立や護岸工事などにより集落と周辺環境の変化が徐々に変化を重ねていった。 このように集落の環境変遷史をまとめるとともに、集落の記憶に関わる場所を資料化し、地域の環境史を追体験するプログラムの試案を提示するとともに、そのための場所の保全や再現の可能性を検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
沖縄県内で予定していた現地調査のうち、沖縄島北部地域の集落における戦後の地域環境の変化に関わる調査を実施することができた。 しかし、新型コロナウィルス感染症に関わる地域社会の状況により、高齢者をはじめとする聞き取り調査の障害があり、想定どおりの調査が困難な時期が多くあった。 また、韓国の大学に所蔵されている空中写真の複写の入手については、渡航が不可能となったため、複写を実施することができない状態で推移しており、2021年または2022年に実施を延期している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で重要な高齢者への聞き取り調査の実施が困難な状況にあり、当面は資料収集と実地踏査を中心とした研究を継続する。 韓国、済州大学所蔵の空中写真の複写に関しては、2021年度内の実施が危ぶまれる状況であるが、現地関係者との調整を継続し2022年度の実施を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度には、韓国、済州大学における沖縄戦時の空中写真資料の複写のための渡航費(旅費)および複写手数料(その他)の支出を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の流行のため渡航が不可能となり、旅費、その他の支出ができず、関連する物品費の支出も少なくなった。 2021年度に同計画を実施できるかは未定であるが、年度内の実施は困難である可能性が高いと考えられる。関連する費用の使用は2022年度になることを想定し、そのための準備を2021年度に進める予定である。
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