研究課題/領域番号 |
20K04874
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
二井 昭佳 国士舘大学, 理工学部, 教授 (40459011)
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研究分担者 |
西村 亮彦 国士舘大学, 理工学部, 講師 (30749601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 河川・都市計画行政 / 治水手法 / かわまち空間 / 流域治水 |
研究実績の概要 |
2021年度は、3つの大きな目的のうち,①河川・都市計画の連携事業における整備プロセス・事業スキームの特徴と連携阻害要因の特定,②海外先進事例における整備プロセス・事業スキームの特徴と日本との比較考察にかかわる研究を実施した.①については,「ふるさとの川整備事業(1982~2008)」の初期事業(116河川)を対象に,治水手法の種類と傾向を把握し,形成されたかわまち空間の特徴を分析することで治水手法とかわまち空間の関係性について考察した.これらは,データを精査の上,今後学会への発表を予定している.また②については,コロナの影響で海外調査自体は実施できなかったものの,すでに実施済みの事例を対象に,文献調査を進めることで,研究を実施した.具体的には,ドイツにおける河川行政と都市計画行政の縦割りを超えた連携方策に着目し,河川管理者である州が都市計画行政を担う市町村と連携して治水事業を実施するバイエルン州と,都市計画行政を担当する市町村が治水事業も実施するノルトライン=ヴェストファーレン州に注目し,具 体的な整備事例をもとに, 両者のデザインプロセスを明らかにした.また優れた流域治水事例としてオーストリアのマッハラントダムプロジェクトに注目し,7 つの自治体の協働によるドナウ川沿川の約54km 区間のプロジェクト詳細を明らかにした上で,大きな特徴として,まちの特性に応じた洪水防御対策,コミュニティや生業を維持しながら大規模な遊水エリアを確保する集落移転,地域の魅力を高める柔軟な土地利用の3 点を指摘し,市町村が主体的に計画に関われる仕組みを含め,我が国の流域治水に関わる政策の推進・実践に向けた留意事項を指摘した.これらは査読論文への投稿および学会発表を実施している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査を活用することで作業は進めているが、コロナウィルスの影響により国内・国外ともに予定していた現地調査が十分にできていないため上記の判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は下記の進め方を予定している.①河川・都市計画の連携事業における整備プロセス・事業スキームの特徴と連携阻害要因の特定については,2年間で得られた「ふるさとの川モデル事業」の研究成果を用いて実現性の高い計画と低い計画から特徴的な事例を複数選定し,当時の行政担当者や設計者へのヒアリングを実施する.これにより,河川・都市計画の既存連携事業における計画プロセス・事業スキームの特徴と連携阻害要因についての情報を収集する. また②海外先進事例における整備プロセス・事業スキームの特徴については,現地調査も視野に入れつつ,ひきつづき文献資料を中心にデータ収集を進め,日本とドイツにおける整備プロセス・事業スキームの皮革検討の作業を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もコロナ禍により国内外の現地調査を実施できなかったため,旅費などが予定通りに使用することができなかった.2022年度は,コロナの状況も改善されたため,これまで実施できなかった国内外の現地調査に取り組んでいきたい.
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