名護市の計画は、内発的発展論の立場から先駆的な事例として取り上げられることが多いが、名護市以外の計画が検証の対象として取り上げられることはない。沖縄北部の地域計画を担った象グループに対して都市計画学会石川賞が贈られ、高く評価されたが、一連の計画について評価・検証を行なった例は見られない。本研究の学術的意義は大きい。象設計集団の沖縄県内の設計作品は半世紀近くの年月を経る中で厳しい環境圧を受けて劣化が進みつつあり、存続の是非が議論される時期が近づいている。これらの作品の価値を評価する時、施設単体の評価だけでなく、一連の地域計画の表出としての視点も含めた多角的な視点を提示する社会的意義は大きい。
|