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2020 年度 実施状況報告書

地下街での避難の円滑化に向けた避難シミュレーションモデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K04881
研究機関大阪工業大学

研究代表者

山口 行一  大阪工業大学, 工学部, 教授 (80294718)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード防災 / 避難誘導 / マルチエージェント / シミュレーション / 地下街
研究実績の概要

1)避難シミュレーションに関わる文献収集・整理:土木・建築分野をはじめ心理学・情報学などの分野の避難行動および避難シミュレーションに関わる文献を収集・整理した上で、アンケート調査結果をもとに、避難シミュレータに反映する避難先選択心理を検討した。
2)マルチエージェントシステムによる避難シミュレータの開発:まず、対象とする地下街に接続するビルや階段の場所、来街者数を把握するなどして地下街空間のモデルの作成条件を明らかにし、マルチエージェントシステムに取り込む地下街空間をCADで作成した。次に、来街者の避難心理として、最寄りのビルだけでなく、過去に訪問するなどして状況を知っているビルを選択する可能性があること、避難経路としてすぐに地上に出てから避難先に向かう場合と地下通路のみを移動する場合があること、避難口や階段で待ち行列が発生した場合に避難先を変更することなどを取り込んだマルチエージェントシステムによる避難シミュレータを構築した。また、避難誘導方法として、初年度は、最寄りの接続ビルや階段を利用して避難する場合と、接続ビルが被災などして、避難先として避難者を受け入れることや避難経路として通過することを許可しない場合を設定した。
3)避難シミュレーションの実施:異なる避難先選択心理の影響や接続ビルの避難誘導方法についてシミュレーションを行い、避難完了時間、混雑する階段、累積避難完了者率などの観点から、避難誘導の影響を分析した。どのシミュレーションパターンにおいても、待ち行列が発生するなどして、残りの20%の来街者の避難に時間を要していることなどがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、まず、土木・建築分野をはじめ心理学・情報学の分野の避難に関わる文献整理を行うことで、避難行動に関する理解が進み、それらを避難誘導方法の検討、シミュレータの開発に役立てることができた。また、構築した地下街における避難シミュレータを用いて、一部の避難誘導方法に関するシミュレーションを実施することができ、来街者が群衆として避難する際の分析を開始することができた。一方で、データ作成が一部おくれたり、シミュレーションの結果、利用しているシミュレータによる制約も明らかとなり、それらにどのように対応するかは引き続き検討する必要がある。若干の懸念事項はあるが、次年度も複数の避難誘導方法における群衆避難について検討するとともに、シミュレータの開発を進めることとする。

今後の研究の推進方策

次年度は、設定した避難誘導方法の一部を実施したことで明らかとなったシミュレータ上の制約についての対応を検討する。また、異なる避難誘導の方法をシミュレータで扱えるように引き続きシミュレータの開発を進める。シミュレータの開発後、避難シミュレーションを実施し、群衆としての避難行動を分析し、避難完了時間、混雑する場所などを明らかにし、地下街の地理的な制約条件を踏まえ、有効な避難誘導方法を検討する。そして、防災上対応が必要な事項についても検討を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大を受け、当初予定していた人件費・謝金、研究成果を発表するための出張旅費に影響があった。次年度は、人件費は作業補助にあてデータ整備などを進めるほか、研究成果の発表についても実施する計画である。

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公開日: 2021-12-27  

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