高齢者・障がい者等の継続的居住実現のための移動支援サービスを行政と民間の両面から調査を行い、その有効性を分析した。行政や福祉関係者だけでなく民間業者も不自由が生じやすい斜面市街地であることを意識したサービスを独自に行っている。道路と住居の接続の状況や駐車場と住居の位置関係が重要な条件だが、実際には適当な住宅は少なく困難を生じている。斜面市街地では、生活と自立を支える拠点「生活の場」「働く場」「学ぶ場」とは具体的には何かという選別と各施設のバリアフリー「点の整備」、さらに「住居」と「各拠点」、「各拠点同志」のアクセスの「線の整備」を特に重視し、改善を意識することが重要であることが明らかになった。 階段や坂が多い斜面地では自宅から車道に出るまでの負担が大きく、そこまでも含めて移動支援を行う各種のサービスがあり、以下の事例についてアンケートとヒアリング調査を実施した。バリアフリー車両運行情報提供サービス、片道定期(路線バス)、介護保険の市町村特別給付による移送支援サービス、民間企業が独自に行う移送支援サービス。移送支援は介護保険と日常生活支援総合事業、障害者総合支援法の利用で行われ、現地では利用者を車いすごと背負って斜面や階段を登ることや、訪問入浴の際は専用のバスタブ等を利用者宅まで運び込むことで対応するなど支援者の負担が大きく、人員不足も問題となっている。 また、「当事者」に斜面地の住環境と移動についての経験をヒアリング調査するとともに、「生活の場」「働く場」「学ぶ場」の施設の調査を行い、「生活と自立のための各拠点の移動」の必要性とその課題を見出した。 高齢者・障がい者をはじめ皆が住み続けられるよい街にするためには、どのようにすればよいか、先行事例としてスウェーデンにおける「北欧のサポートシステム」を現地での調査と意見交換し分析を行った。
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