本研究では最初の2年間に海外調査ができなかったため、研究対象範囲の縮小や変更を余儀なくされ、今まで取り組んできたイタリアとスペインとの関係をさらに深く研究する方針へと変更した。したがって、その研究成果もイタリア・ルネサンスの建築書がスペインに及ぼした影響に関するものが中心となった。当初計画していた構造と装飾との関係については、取り上げることのできた事例がマドリード近郊の建築などに限定されたため、説得力のある結論を導くことはできなかったが、とりわけ15世紀のフィラレーテと16世紀のセルリオの建築書から大きな影響を受けていることが判明した。
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