本研究は、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレの未定稿「都市の構築」に表明された都市デザイン論の基本理念と手法を明らかにした。とくに街区、道、広場の記述を対象に分析を行い、視覚的・身体的評価軸と実用的評価軸を導出した。 さらにジャンヌレの参照源として、とくにド・モントナックから「都市のシルエット」が引用されていることに注目した。ド・モントナックはドイツ郷土保護運動に共鳴し、風景美を通じて愛国心が生まれるとし、伝統的な都市美の保護を主張した。ジャンヌレもド・モントナックへの同調を見せるが、一方で、愛郷心の創出根拠を都市のシルエットの視覚的明瞭さに還元し、近代的な都市景観の見方の萌芽を示した。
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