近代における和釘と洋釘の併用を踏まえ、和釘の原料とされたNail-rodの輸入開始を英字新聞より元治元(1864)年と見出し、明治20(1887)年代に至る輸入を確認した。 洋釘の輸入は明治4(1871)年になされたことを『横浜毎日新聞』により示し、以後、洋鉄和釘と洋釘が明治10(1877)年代後半を中心に併用されたことを示した。 和釘と洋釘の併用の実態は明治19(1886)年の国重文の旧中筋家住宅中蔵を検討し、和釘と洋釘が46:54の重量比で使われたことを示した。 洋釘の価額は元治元(1864)年の和釘に対し戦前期1/26にまで下落し、経済的要因が和釘から洋釘への転換を促したことを示した。
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