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2021 年度 実施状況報告書

「大工棟梁」を中核とした近世建築生産史の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K04894
研究機関日本大学

研究代表者

山岸 吉弘  日本大学, 工学部, 講師 (40454201)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード建築生産 / 生産組織 / 大工技術
研究実績の概要

本研究の目的の一つに、中世から近世にかけて大工技術の変遷を明らかにさせることにある。当時の大工技術を直接的に知ることのできる史料として、木割書が挙げられる。木割書には、建築の設計技法が記述されている。中世と近世の木割書には、記される設計技法の内容に差異があると言われている。しかし、現在までに知られている中世の木割書は数が少なく、検討するには限界があった。
研究を進める中で、新出の木割書「とりいのみょうもく」を発見するに至った。記述の内容から、「とりいのみょうもく」は中世から伝来したものであると断定した。改めて、中世と近世の差異を考察するために、「とりいのみょうもく」を分析し、他の木割書との比較を行った。
その結果、「とりいのみょうもく」は中世から近世へと移行する過渡期に位置付けられた。中世の木割書では寸法を規定する際、実寸が用いられていた。一方で、近世の木割書では比例を用いて寸法を規定していた。「とりいのみょうもく」では中世的な特徴である実寸が用いられていた。けれども、具体的な数字として「1」が選択されており、比例的な意味合いが強く押し出されていた。つまり、「1」にどのような数字を掛け合わせても結果に影響しない。そのような観点から、「1」は中世と近世の両方の特性を併せ持つと言え、「とりいのみょうもく」は過渡期にあると判断することができるという目論見である。
これまで学界に知られることのなかった「とりいのみょうもく」を発見し、中世から近世へと移行していく過程を辿ることができると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新出の木割書を読解し、内容の分析することで、本研究の目的の一つである「中世から近世かけて大工技術の変遷を明らかにさせる」ことの一端を解明することができる。

今後の研究の推進方策

今後は、新出の木割書と既存の木割書の内容を比較分析し、中世から近世への変遷を辿ることを目指すとともに、大工の存在をリスト化する作業を継続して進める計画である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は遠方への調査を実施せずに研究を進めることができ、出張費として支出することがなかった。また、資料の収集も計画通りに進展していることから、支出の方針を修正し、資料の編集のために使用することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 中世木割書にみられる鳥居の木割2021

    • 著者名/発表者名
      山岸吉弘
    • 学会等名
      2021年度日本建築学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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