研究課題/領域番号 |
20K04900
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
豊川 斎赫 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00462127)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国立代々木競技場 / 世界遺産 / 保全管理計画 / 近代建築 |
研究実績の概要 |
国立代々木競技場の世界遺産登録を目指すにあたりCMP(保全管理計画)の作成が不可欠となる。その際、国立代々木競技場の特異性を明らかにするために、同時代に建設された大空間建築(駿府会館、香川県立体育館)との比較を行うと同時に、代々木競技場の空調衛生設備に関する実施設計図面の調査を行った。 また、国立代々木競技場が設計される以前の、1950年台に丹下が取り組んだデザインの特徴と海外における評価を明らかにするために、丹下自邸の設計プロセス、丹下が初めて渡欧した際の履歴についても調査を行った。これらの成果は日本建築学会計画系論文集、同技術報告集に掲載された(「国立代々木競技場と香川県立体育館の設計プロセスに関する比較研究」、「駿府会館の設計・施工プロセスに関する研究」、「早稲田大学建築学教室本庄アーカイブズ所蔵国立屋内総合競技場空調衛生設備実施設計図書」、「丹下健三とCIAM第8回会議関係者との応答書簡」、「丹下健三自邸の設計プロセスに関する研究」)。 また、2021年8月末に開催されたDOCOMO2020+1東京大会にて、国立代々木競技場に関する考察を2本投稿・発表した。 同年9月2日に開催された代々木競技場の世界遺産登録に向けたシンポジウム(登壇者:槇文彦・隈研吾・後藤治、六本木アカデミーヒルズ)の司会進行を務め、国立代々木競技場の価値を海外の研究者に向けて情報発信できた。このシンポジウムに合わせて『国立代々木競技場と丹下健三』、『Yoyogi National Gymnasium and Kenzo Tange』(いずれもTOTO出版)を上梓した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
丹下健三が代々木競技場の設計に至るまでのデザインの軌跡はCMPを作成するにあたって重要となる。このため、駿府会館、香川県立体育館に代表される大空間の設計プロセスを明らかにし、1950年台に丹下が取り組んだデザインの特徴と海外における評価を明らかにするために、丹下自邸の設計プロセスや丹下が初めて渡欧した際の履歴についても調査ができた。 研究計画にはドイツ・ミュンヘンのオリンピックスタジアムを訪問し、海外研究者と意見交換をする予定であったが、コロナ禍のため渡欧が困難な状況にあった。そんな中、DOCOMOMO2020+1東京大会を通じて海外の研究者と意見交換を行い、20世紀後半のイタリア・ローマのスタジアム(設計:ネルビ)やアメリカ・マイアミのスタジアムの保全管理技術について多くの知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
国立代々木競技場の改修履歴を平面図にプロットする作業を進めるとともに、代々木競技場をオリンピックレガシーとして捉えた場合の社会的な価値について考察を深めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、海外出張が代々木競技場の改修工事履歴をCAD入力するための人件費に充てたい。
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