今年度は、コロナ禍が空けたことで、ドイツとオランダに見学調査を行くことができた。ドイツではミュンヘンで第2次世界大戦により戦災を受け戦後に改修された事例として、ハンス・デルガスト(Hans Doellgast)の改修設計によるAlte Pinakothek(1957年改修)、St. Bonifaz(1950年改修)、またヨセフ・ヴィーデマン(Josef Wiedemann)の改修設計によるSiegestor(1958年改修)、Glyptothek(1972年改修)などを見学した。またケルンでは、ルドルフ・シュワルツ(Rudolf Schwarz)の改修設計によるThe Museum of Applied Art(1956年)、Neu St. Heribert(1951年)、Old St. Alban (1960年)、St. Anne's Church in Duren(1956年)などを見学した。 ミュンヘンを中心に活動したデルガストは、外壁などに戦災の痕跡を残し見せながら改修を行う方法を確立した。ヴィーデマンもデルガストと同様の方法で改修を行った。一方、ケルンのシュワルツは、オリジナルの姿に復元する改修や、戦災の姿のまま廃墟のままで残すもの、あるいはデューレンの聖アンネ教会では、戦災で瓦礫となった旧教会の石材を用いて、全く新しい建物を建設している。 オランダでは、ロッテルダムのLaurenskerk Rotterdam(1968年改修)やヘリット・トーマス・リートフェルト(G.Th.Rietveld)の改修設計によるMetz & Co(1933年改修)などを見学調査した。前者はオリジナルに忠実な復元に近いもので、後者は19世紀の建物の屋上にモダニズム建築を増築したもので、新旧のコントラストを強く見せる手法である。
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