近年、世界は「グローバル」「単独の球体」として一つになろうとする潮流が強まり、新たな「グローバル・ヒストリー」構築の動きも顕著だ。だが、「アジアの時代」、「環太平洋の時代」といわれつつも、ヨーロッパ的価値観が上記の潮流の底に流れ、それに基づく全世界の伝統的「配役」がむしろ強化されているように思われる。これはヨーロッパ近世の「世界システム」に由来し、英仏中心の帝国主義的な世界観へと繋がるが、文化的には絶対王政下のフランスの影響が色濃い。本研究ではこれまでの研究課題の視点に加えて、対象を近世近代のヨーロッパ等へと拡大し、最終的にはグローバル化する現代社会の正体と底流を突き止める一助となるだろう。
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