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2021 年度 実施状況報告書

特異入力を活用し高トルクを実現するピラミッド型マイクロVS-CMGの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K04917
研究機関横浜国立大学

研究代表者

樋口 丈浩  横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20403652)

研究分担者 渕脇 大海  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20377021)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード衛星姿勢制御 / CMG / 準最適制御則
研究実績の概要

近年,衛星の姿勢制御は精度のみならず,より高速な姿勢制御が求められている.本研究は小型衛星を対象に高速姿勢変更を実現するために,可変速コントロールモーメントジャイロ(VS-CMG)と呼ばれる制御装置の高効率利用方法の提案とその制御則に関する研究である.本研究では従来の機器では無駄となっていたトルクを有効に活用する方法を提案・検証し,特に有効であると考えられる超小型の姿勢制御装置の開発・実証実験を行う.研究初年度には,プロトタイプ機の開発,搭載ソフトウェア・制御則の検討を行った.
研究2年目は引き続きプロトタイプ機の開発と実験,制御則の改良とその性能評価を実施した.研究はハードウェア開発とソフトウェア開発に分けて開発を行いつつ,2年目後期からは2つを合わせた実験も開始している.
ハードウェア開発では実験機の性能評価と小型化を行った.プロトタイプでの性能評価を経て,十分な知見が得られた.改善点としてシステムの無線化を実施し,実験の精度を高めた.さらに入力信号の適切な処理と実際の動作の評価,センサー系の精度の評価を実施した.また,必要な性能を見積り,製作制度を向上させた新しいVS-CMGのセットを作成し,制御装置としての性能向上を実現した.
ソフトウェア開発では提案する準最適制御則に関する研究を継続している.準最適制御則では事前に初期未定乗数のデータベースを集める必要があるが,そのデータベースに関する感度調査やデータベースの補間方法などに関する研究を中心に実施した.得られた知見により,ほぼ搭載用の制御則は完成しており,これからは実際の準最適制御実験を行う準備をしている.
以上の活動を行い,2年間の成果を踏まえつつ,3年目の活動を実施する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在,概ね当初計画通りの進捗である.ソフトウェア開発については,当初計画通りに進捗しており,実験モデルに合わせた最適解の収取を行い,同モデルを対象とした準最適制御則の開発を実施している.準最適制御則用の初期未知乗数の収集,感度調査も概ね終了し,現在,開発中の実験機の仕様に合わせたデータ収集,制御則のブラシアップを行っており,研究計画通りである.ハードウェアについてもおおむね当初予定の機器導入,システム設計とプロトタイプの作成を実施し,基礎的な性能評価を行った.また,実験における問題点などを洗い出し,対応・改善を実施している.一部,コロナの影響により海外からの部品等について納品の遅れがあり,ハードウェアの開発が遅れたものの,現在は実験用機体の作成に大きな遅延が生じている状況ではない.

今後の研究の推進方策

3年目は最終年度として,これまで開発してきたソフトウェアとハードウェアを複合し,実際の実験,データ収集,データ整理,成果報告を主に実施する.実験機自体の開発はほぼ終了しつつあり,上半期は搭載プログラム等のブラシアップを中心に実施する.シミュレーションと実機の結びつけを精査しながら実機実験を実施する.実験データが得られ次第,解析,性能評価を行う.実験ケースとしては,回転軸,回転角度により様々な結果,傾向が見込めるため,十分に時間をかけながらデータ収集を行う.下半期は実験の継続とデータ収集,また,実験結果の取得に加え,学会や論文に対する成果報告も実施する.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍に伴い,旅費がかからなくなったことにより,請求額との差が出ている.今年度は延べ6名分の旅費が必要なくなったため,使用額に余裕が出た.翌年度は余裕が出た分の一部をより精度の高いセンサーの導入に活用するとともに,成果報告の回数を増やす予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Semi-Optimal Control Using Shooting Method for Real Time Minimum-Time Maneuver of Satellite with VSCMG2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya Mitsuyoshi、Higuchi Takehiro
    • 雑誌名

      AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN, THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES

      巻: 20 ページ: 9~18

    • DOI

      10.2322/astj.20.9

    • 査読あり
  • [学会発表] Semi-Optimal Control Law for Minimum-Time Maneuver of Satellite with Pyramid-Type VSCMG2022

    • 著者名/発表者名
      Kohei Oikawa, Takehiro Higuchi, Motoharu Fujii, Naoto Hoshika, So Kaieda, Ohmi Fuchiwaki
    • 学会等名
      33rd International Symposium on Space Technology and Science
    • 国際学会
  • [学会発表] 小型宇宙機の最短時間姿勢変更のための準最適制御におけるVSCMGの有効性2021

    • 著者名/発表者名
      及川 航平,樋口 丈浩,藤井 元春,星加 那音,海江田 蒼,渕脇 大海
    • 学会等名
      第65回宇宙科学技術連合講演会
  • [学会発表] 藤井 元春,樋口 丈浩,及川 航平,星加 那音,海江田 蒼,渕脇 大海2021

    • 著者名/発表者名
      VSCMG搭載小型衛星のFF/FB姿勢制御則の切り替え時刻最適化
    • 学会等名
      第65回宇宙科学技術連合講演会
  • [学会発表] 星加 那音,樋口 丈浩,及川 航平,藤井 元春,海江田 蒼,渕脇 大海2021

    • 著者名/発表者名
      超小型ピラミッド型VS-CMG姿勢制御装置の試験機開発
    • 学会等名
      第65回宇宙科学技術連合講演会

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公開日: 2022-12-28  

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