研究課題/領域番号 |
20K04920
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
宮田 喜久子 名城大学, 理工学部, 准教授 (00733156)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超小型衛星 / 宇宙機熱設計 / 運用計画 / 熱伝導 / 宇宙システム |
研究実績の概要 |
本研究では超小型人工衛星の開発・運用の更なる効率化のため,世界的に研究開発が遅れており不確定性が確認されている温度制御機能の改善を目指す.問題解決の手段としては不確実性を低減可能な機器設計手法の提案と温度制約を含んだ宇宙機運用計画系の構築の2つの手段を検討している. 今年度は,①不確実性の主たる要因としてあげられている構成機器間の熱伝達条件などをはじめとした熱的パラメータの不確実性の影響についての評価,②不確定パラメータの推定手法の検討,③不確実性を受動的に低減可能な材料の評価,④パラメータ変動や熱制御材料を取り入れた運用計画系の検討を行った. ①に関しては,コロナ禍の影響により実験的検討の機会が少なくなってしまったため,解析的な検討を中心とし,熱的パラメータの不確実性による温度変動についての傾向を得た.合わせて実際の宇宙機を模擬した熱数学モデルを構築し,機器温度に影響をおよぼすパラメータの抽出を実施した.②については,過去の衛星データや追加実験などを用いて提案したパラメータ推定手法の有効性を検討した.③については,いくつかの候補材料の特性評価と実装方法の検討を行い,基礎実験を行った.④については,個別の機器の温度特性取得データや過去の衛星データを用いたシミュレータを構築し,③の機構と組み合わせた運用計画構築のデモンストレーションを開始している.また,成果の一部に関しては後述するように外部発表も実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により実験機会が想定より少なくなってしまい,当初の申請に対して実験計画には少し遅れが生じてしまった.代わりに解析的な検討が可能な部分については前倒しで進めているが,実験結果によっては解析的な検討自体にも影響が及びうることから(3)やや遅れている.を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
実験が可能な期間においてできる限りの実験を遂行し遅れを解消する.今年度の解析結果と組み合わせて評価することにより,不確実性を低減可能な機器設計手法についての解明を中心とした実験的検討を実施する.
また,概要④の内容についても並行して改善を進めていく.現時点でも運用計画系構築デモンストレーションの結果については2021年度に開催される国際学会のアブストラクト査読を通過し受理されることが決定していることをはじめとし,いくつかの外部発表機会を得ている.発表時のフィードバックを反映し順次査読付き論文の執筆を開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による実験計画の遅れと研究代表者の組織移動から新規導入設備計画に対して見直しを行った.購入予定だった計算機等は安価なものを再選定し購入した.次年度は見直した機器導入計画に基づき設備更新を実施する.
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