研究課題/領域番号 |
20K04921
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
永田 靖典 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (20635594)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 航空宇宙工学 / 大気圏突入機 / 機体制御 / プラズマ流制御 / 電磁流体 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,大気圏突入技術として提案されている電磁流体制御技術に関し,機体表面の導通が流体制御効果に与える影響を利用した新しい能動的制御手法について,実験的・数値的に検討を行うことを目的としている.本年度は,実験計測に向けた実験環境の整備・構築,および数値計算環境の構築と再突入飛行環境下での予備計算を実施した. アーク加熱風洞は生成されたプラズマ気流を用いて電磁流体制御技術の実験的検証を行うための重要な実験装置であり,本年度の研究代表者の異動に伴ってアーク加熱風洞設備の移設が必要となったため,設備の移設を行った.移設後の実験環境の整備・構築を進めると同時に,計測系のブラッシュアップ,実験に使用する実験模型の検討を行った.実験では,気流により実験模型に作用する力を計測するが,模型側壁の影響が大きいことが示唆されたため,側壁を覆うカバーを設計・製作し計測系を改良した.カバーの効果については検証中であるが,気流の乱れに起因する側壁からの計測値への影響が緩和されて,模型前面で作用する電磁流体制御効果の影響がより顕著に見られるようになる見込みである.これは,実験における不確定性が少なくなることで,今後実施する計測値と数値計算結果との比較が容易になる可能性がある. 数値計算に関しては,計算環境の構築,および再突入飛行環境における機体表面の導通状態と電磁流体制御効果との関係についての予備計算を行った.これまで2次元軸対称の形態を想定した計算で検討を行ってきたが,機体表面の導通状態を3次元的に分布させた場合の影響について計算コード開発・検討を開始した.機体表面の導通状態がパラメータとして増えるため,この検討を通して,電磁流体制御の効果が強い条件を見出し,実験模型の設計にも反映していく.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では,本年度からアーク加熱風洞を用いてデータ取得を開始する予定であったが,研究代表者の異動に伴う設備の移設,新型コロナウィルスの蔓延による緊急事態宣言発令により,実験環境の整備・構築に時間を要しており,データ取得に至っていない.しかし,計測系の改良は進めており,今年度早い段階で実験環境を整えデータ取得を開始していく. 一方,数値計算については,3次元計算コードの開発を先行して進め,再突入飛行環境における機体表面と電磁流体制御効果との関係について予備計算を開始している. 以上の理由により,達成度としては「やや遅れている」とした.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続きアーク加熱風洞の実験環境の整備・構築を進め,実験模型を用いたデータ取得を行っていく.アーク加熱風洞を早い段階で稼働状態にすることが基本であるが,事前準備として,実験模型や実験パラメータを入念に調整しておくことで,効率良くデータ取得が行えるようにする.数値計算については,実験データとの比較検証,および再突入飛行環境における電磁流体制御効果の検討を進めていく.すでに計算環境が構築されているため,特に問題はない.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予想していたよりも実験環境の整備・構築を進められなかったため,その分の予算が残額として残ってしまった.今年度も引き続きアーク加熱風洞を稼働状態にするための環境整備・構築を進めるため,そのための費用として使用していく.
|