本研究ではプリカーサ現象が大気突入カプセル背面の空力加熱率へ及ぼす影響を明らかにするために、衝撃波管で生成された衝撃波背後のアルゴンプラズマを対象に研究を実施した。最初に衝撃波前方領域で生じるプリカーサ現象を組み込んだ1次元数値流体力学計算コードを改良して精緻化を行った。これよりプリカーサ現象の有無により衝撃波背後の熱化学過程に差異が生じることが明らかになった。また原子衝突過程を組み込んだアルゴン衝突輻射モデルを新たに開発して、衝撃波背後で計測したアルゴン原子スペクトルの解析に適用した。これより衝撃波背後のアルゴンプラズマの特性量(電子温度、電子密度、原子密度、原子温度)の空間分布特性を取得することに成功して、開発したCFDコードにより数値解析結果ともよい一致が得られた。さらに連続スペクトルを利用した簡易的な電子温度評価手法を構築した。 最終年度は、築した連続スペクトルを利用した電子温度評価手法を様々な実験条件で取得したスペクトルに適用した。連続スペクトルの主要因である自由電子と中性原子間の制動放射の他に自由電子とイオン間の制動放射及び再結合放射も考慮してモデルの精緻化を行った。その結果、衝撃波後方領域においてCFDとの一致性が改善した。また衝突輻射モデルにより得られた電子温度ともよい一致を示しており、本手法が衝撃波背後の非平衡プラズマ流においても有効であることが明らかになった。 さらに電子密度評価もできるようにするために、分光計測システムの絶対強度較正を実施した。これより計測した連続スペクトルに数値スペクトルをフィッティングすることにより電子温度と電子密度を得ることが可能となった。
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