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2022 年度 実施状況報告書

動的酸化試験による再使用型宇宙往還機熱防御システム(TPS)の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K04926
研究機関東京都市大学

研究代表者

桃沢 愛  東京都市大学, 理工学部, 准教授 (70575597)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードアーク加熱風洞 / 再突入環境 / 熱防御システム / ジルコニウムカソード / 放電プラズマ焼結
研究実績の概要

宇宙往還機の大気圏再突入の際、機体は高温にさらされる。機体を保護するために、熱防御システム(TPS: Thermal Protection System)が使用されている。再使用型宇宙往還機によるコスト低減を図るには損耗の少ないTPSの開発が必要である。TPSの加熱試験には、大気圏再突入環境の模擬が可能なアーク加熱風洞が用いられる。我々の研究グループでは、コンストリクタ型アーク加熱風洞の開発を行っている。
アーク加熱風洞構築については、昨年度に引き続きカソードの最適化を図っている。誘導加熱炉を用いて様々な実験条件でZrカソードの表面窒化を行い、作動試験を行った結果、窒化被膜の厚さや質がアーク放電に大きな影響を与えることが明らかになった。具体的には、最適な被膜厚さがあり、また、均質な被膜厚さを持たせることがアーク点火及び安定した作動に大きく影響することが分かった。その結果、アルゴン気流のプラズマトーチの長時間保持に成功した。一方で、今回の成果から、アーク放電の安定がアノードの損耗にも大きく影響することも明らかになった。
一方、TPSの材料作製において、今年度より放電プラズマ焼結法(SPS)を用いてZrB2-SiC作製実験を開始した。過去においては装置の条件上、最高1800℃までの焼結が出来なかったが、より高密度な試料作製のためには、より高温での焼結が必要であることが明らかになった。また、新たな試みとして、より軽量なTiC-TiB2を用いた試料作製を行い、高密度な試料作製に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はコロナ禍による実験室使用制限はあったものの、ジルコニウムカソードの表面窒化処理実験により、過去よりも大幅に安定したアーク加熱風洞の作動が可能となり、また、安定した放電のカギとなるカソードの条件が明らかになった。また、アノードの損耗は、気流の種類だけでなく、放電の安定性が重要であることを見出すことが出来たのも大きな成果と言える。
一方、熱防御システム(TPS)の作製において、放電プラズマ焼結法(SPS)により、試料作製を開始している。既存のZrB2-SiCだけではなく、TiC-TiB2の作製実験を開始している。2種類のTPSの作製により、焼結性や微細構造において、多くの比較が可能となった。

今後の研究の推進方策

アーク加熱風洞構築については、作動気流をアルゴンから酸素を含む気流を用いて実験を行う。アーク放電のための電極について、カソードについては、引き続きZrN被膜カソードの最適条件を見出し、その安定的な作成プロセスを確立する。また、作動流体の流量や種類によってアーク点火・放電条件が変わることが予測されるため、それがカソード等の電極に与える影響について見出す。
カソード電極において、新たに導電性の酸化物を用いる案がアイデアとして出た。過去にこのような試みはなかったことから、さらに文献調査を行った後、試料作製を行い、特性の測定を試みることで、可能性を探る。
TPS材料については、ZrB2-SiCおよびTiC-TiB2について、これまでは焼結性にのみ着目してきたが、宇宙往還機を構成する構造材として用いる可能性を鑑みて、機械的特性の測定を行う予定である。また、アーク加熱風洞での酸化実験が可能になった時点で酸化実験を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究課題の1年延長を決定したことから、次年度使用額が生じている。また、消耗品の購入分として一部研究費を次年度に使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Surface Nirtiding of Zr Cathode Using Induction Heating Furnace2023

    • 著者名/発表者名
      Shogo IIZUKA, Ai MOMOZAWA, Tomoyuki IKEDA, Kimiya KOMURASAKI
    • 学会等名
      The 30th Annual meeting of IAPS
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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