研究実績の概要 |
当初の研究計画では昨年度が最終年度であったが,成果取りまとめにおいて,処理中・未発表のデータ等が残されていたため,研究年度を1年延長して研究を継続した.本年度はデータ処理および成果発表を中心に研究を実施した. ヘリコプタ前方障害物76 GHz帯ミリ波MIMOレーダの実験系構築および要素技術評価については,これまでに構築した信号処理回路とミリ波レーダ部を組み合せた実験系を用い,屋外環境において地上送電線探知試験を実施した結果を評価・分析した.これまでに開発したヘリコプタ前方障害物76 GHz帯ミリ波レーダよりも近傍の物体の影響を受けずに,遠距離の探知が可能であることを確認した. MIMOレーダ要素技術評価について,構築した実験系を用い,屋外環境において地上送電線探知試験等を実施した結果についてデータ処理および成果発表を実施した. 地上送電線探知試験では構築した実験系を用い,送電線のレーダ反射断面積(Radar Cross Section, RCS)特性を詳細に評価した結果を発表した.送電線RCS特性は,横に長い円筒状の形状によるスペキュラー反射とより線構造によるBragg散乱から構成される.地上から実際の送電線のRCS特性を取得し,Bragg散乱を実測で明らかにした。本内容は,International Symposium on Antennas and Propagation (ISAP2023)にて発表を行い,Track Best Paper Award (AP Related Topics)を受賞した. また,3次元プリンタを用いて構築するミリ波アンテナについては,FDTD数値解析を用い、解析結果と試作結果の違いの発生原因について、誘電率および誘電正接の値の違いの影響を詳細に分析し,Applied Computational Electromagnetics Society (ACES) Journalへの原著論文を実施した.
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